アクリル樹脂などに代表されるポリマーに規則的に亀裂を入れることで発色させる新たな印刷技術を開発したと、京都大物質-細胞統合システム拠点(iCeMS、アイセムス)のシバニア・イーサン教授(化学工学)らの研究グループが、20日付の英科学誌「ネイチャー」電子版に発表した。亀裂自体が模倣されにくく、高精密な印刷が可能で、紙幣や身分証明書の偽造防止印刷などへの応用が期待できるという。 コガネムシの体表などにみられる鮮やかな色は「構造色」と呼ばれ、色素を使わない特殊な構造が光を反射して発色する。 研究グループはこの構造色に着目。ポリマーに、特定の色の光を反射する微少で規則性のある亀裂を生じさせることで、全ての可視光を発色させることに成功した。亀裂は、ポリマーにLEDなどの光を照射し、溶剤で現像することで形成できる。発色する色は亀裂の規則性で決まり、亀裂の数が多いほどより鮮やかに見えるという。高解像度の