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文芸と文学に関するmopinのブックマーク (2)

  • 自意識をめぐる群像劇 – 朝井リョウ「何者」

    何者 この著者が一番気になっているのは、多分、自分も含めた人々、特に若者たちの自意識なんだろう。それを単に、自意識過剰な人達、─所謂、昔っからそういう人間は「嫌な奴」と決まってるわけだけど、そういう「嫌な部分」を明るみに出すのではなくて、「自意識過剰な人達」のことを揶揄したり、批判したりしている人達の「自意識過剰」さみたいなものも含めて扱うってところにこの人の作品の面白さがあるのだろうと思う。 だいたい自意識過剰な人達とか、自分はこういう人間で、みたいなことを自分で主張したり定義したりする人ってのは、コミュニティの中では嫌われる。これは今も昔もそうなんだろうけど、昔は自分を表現する手段が話をするとかしかなかったものが、ソーシャルメディアの普及のせいで、誰にも話かけたり、主張したりもしてないけど、自身を演出することができるようになってしまった。そのせいで、一見過剰な自意識は直接的なコミュニテ

    自意識をめぐる群像劇 – 朝井リョウ「何者」
  • 猫を償うに猫をもってせよ

    ベルギーにアメリー・ノトン(1967- )という作家がいる。女で、幼い頃日で育ち、日企業で働いた経験もある。日ではノートンとされているが、これは英国の作家メアリー・ノートンと間違えたのか、綴りはNothombなのでノトンだということを、比較文学会でフランス文学者の先生に教えられた。 この作家の最初の長編『殺人者の健康法』がめっぽう面白かった。私は戦後のフランスの作家が軒並み嫌いなので、戦後フランスの小説ではピカ一というくらい面白かった。日の企業を描いた『畏れ戦いて』はそれほどでもなかったが、第二作『午後四時の男』も面白かった。これは原題を「カティリーナ弾劾演説」といい、古代ローマのキケロの演説からとっているが、ある土地へ引っ越してきた65歳になる夫婦が、毎日午後四時になると訪問してくる隣人に悩まされるという話である。しかし、ノトンの小説はフランスでもヨーロッパでもベストセラーになっ

    猫を償うに猫をもってせよ
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