ロースか、ヘレ(関西における『ヒレ』の言い方)か――。 肉厚でジューシーなとんかつを作り続けて半世紀。関西で熱烈に支持されるローカルとんかつチェーン「とんかつKYK」。全国の飲食チェーン店を巡ることがライフワークのBUBBLE-Bが、勤続20年以上のベテランで現在はレストラン店舗のスーパーバイザーを務める松下加奈さんに、とんかつKYKが半世紀以上にわたり愛されてきた秘訣について話を伺いました。 店名の「KYK」って何の略? ――「K~Y~K~ とんかつとんかつ K・Y・K♪」という軽やかな歌が印象的なテレビCMは、関西人なら誰もが歌えるくらい有名です。そんな「とんかつKYK」の歴史は、どのように始まったのでしょうか? 松下加奈さん(以下、松下さん):終戦直後、上海から引き揚げてきた創業者の曲田甚太郎が、1946(昭和21)年に大阪の阿倍野の地で商売をしたのが始まりなんです。阿倍野という場所