では『赴粥飯法』の中から、僧たちが食前にお唱えする『五観ごかんの偈げ』をご紹介しましょう。比較的平易な文体で、食に対する姿勢がよく示されていますから、ご家庭でもぜひ日常の食事前にお唱えしていただきたい句です。 一ひとつには功こうの多少たしょうを計はかり 彼かの来処らいしょを量はかる 二ふたつには己おのれが徳行とくぎょうの 全欠をぜんけっ(と)忖はかって供くに応おうず 三みつには心しんを防ふせぎ過とがを離はなるることは 貪等とんとうを宗しゅうとす 四よつには正まさに良薬りょうやくを事こととするは 形枯ぎょうこを療りょうぜんが為ためなり 五いつつには成道じょうどうの為ための故ゆえに 今此いまこの食じきを受うく 食材の命の尊さと、かけられた多くの手間と苦労に思いをめぐらせよう この食事をいただくに値する正しき行いをなそうと努めているか反省しよう むさぼり、怒り、愚かさなど過ちにつながる迷いの心を