7月の京都は、祇園祭一色になる。 連日のように祭りの様子が話題になり、なかでもその前祭 (さきまつり) 後祭 (あとまつり) のクライマックスとも目される山鉾巡行の当日は、多くのヒトたちがまちに繰り出し、浴衣姿の人波がゆっくりと押し寄せるなか、市街の中心部には大規模な交通規制が敷かれて、そこではアジール (聖域) さながら、非日常的な、喜びの充溢をいたるところで見ることになる。 ~目次~ 祇園祭の歴史 祇園祭のはじまり 山鉾巡行の変遷 山鉾の作りについて ウイルス禍をこえて こころに鉾を立てよ 祇園祭の歴史 祇園祭のはじまり 2022年 7月撮影 平安時代、京のみやこに疫病が蔓延するなか、ときの朝廷は863年 (貞観5年) 神泉苑において御霊会 (ごりょうえ・死者の怨霊を鎮めるためのまつり) を執り行った。御霊会とされたからには、陰陽寮・陰陽師による卜占があったのだろう。非業の死を遂げた早