石黒 千賀子 日経ビジネス編集委員 日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。 この著者の記事を見る
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石黒 千賀子 日経ビジネス編集委員 日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。 この著者の記事を見る
最終回です。 いつも、この日経ビジネスオンラインの「ブータン公務員だより」をお読みいただいてどうもありがとうございます。また、いつもたくさんの示唆に富むコメントをいただきどうもありがとうございます。毎回一つひとつ拝読し、「なるほどこういう見方もあったか」と勉強させていただき、次のコラムへの参考にさせていただいてきました。6月中旬にこの連載を始めてから、早いものでもう10回目のコラムとなりました。そして、実は「ブータン公務員便り」は今回が最終回です。 もともと、10回のつもりで始めさせていただいたコラムでした。でもたまに「今週も面白い! ぜひ1年ぐらいは続けてほしい連載です」とコメントをいただいたり、連載も8~9回目ぐらいになったところでツイッターで「面白い連載が始まったよ! 今後に期待!」などと記事を紹介していただいているのを見ると、「ど、どうしよう…。これ10回ものでもうすぐ終わりですっ
この間、知り合いの外国人ビジネスマンと東京を訪れた時の話です。とても忙しい日だったので、彼にパスモを渡してチャージをしておくよう頼み、日比谷線八丁堀駅のA5出口で、午後6時に会いましょうと伝えました。 彼は東京の地下鉄を使ったことがなかったので、迷子にならないか心配していました。しかし午後6時、八丁堀に現れた彼は、目を丸くしながらこう言ったのです。 「これは世界一の地下鉄だ!面倒で複雑なシステムのはずなのに、日本はこれを簡単に使えて、当てになる、最高なシステムに作り変えている!」 。英語を取り扱えるスイカ・パスモの券売機があるだけでなく、全ての駅にローマ字表記、さらには番号表記もあります。地下鉄においては、東京オリンピックへ向けての準備が既に整っていると言っていいでしょう。 東京の電車や地下鉄で通勤している人は、これらの公共交通機関がどれだけ素晴らしいか、普段気付かないかもしれません。都内
上田 紀行(うえだ・のりゆき) 文化人類学者。1958年生まれ。東京大学教養学部文化人類学科卒業、同大学院博士課程修了。愛媛大学助教授を経て東工大へ。「癒し」という言葉を日本に広め、日本社会の閉塞性の打破を、新聞、テレビ等でも説く。近年は沈滞する日本仏教の再生運動にも関わり、ダライ・ラマとの対談も出版。東工大では学生からの授業評価が全学1位となり、東工大教育賞最優秀賞を受賞。著書『生きる意味』(岩波新書)は2006年度大学入試出題数第1位の著作となる。その他、『生きる覚悟』(角川SSC新書)、『「肩の荷」をおろして生きる』(PHP新書)、『ダライ・ラマとの対話』(講談社文庫)など著書多数。(写真:大槻純一、以下同) 調子が悪くなったシステムの典型が、日本の高度経済モデルだったわけですね。もはや機能しないし、アベノミクスでちょっと景気が回復した程度でも、高度成長が復活することはまずあり得ない
上田:明確に、ではありませんが、異常事態だ、ということにはかなり前から気づいています。従来の働き方が崩れ、リストラされる社員が多数出てきたり、残された社員の中からも鬱になる人が増えていますから。なんとかしなければ、と考えている経営者は少なくないはずです。 池上:上田先生のところにも相談が? 上田:この前、会社の人事担当者が集まる会合で講演をしたときに、日本社会は会社で金儲けの道しかない単線社会だ、宗教や個人の友人関係といった別の心のよりどころが存在しにくい、だから、会社社会がゆらぐと、個々の日本人も揺らいでしまうんだ。と話したんです。すると、ある会社の人事担当者が言いました。 「うちでも鬱になって会社に出てこられない社員がたくさんいます。そこで悩んでいることがあります。その社員をなんとかしようと、人事担当者が休んでいる社員を訪れてケアをしようとするんですが、まずいことに今度は人事担当者が鬱
参院国家安全保障特別委員会の中川雅治委員長(自民党)は12月5日、特定秘密保護法案の採決を強行し、同法案は、自民、公明両党の賛成多数で可決された。これを受けて、政府、与党は、遅くとも会期末の12月6日までに、参院本会議で同法案を可決成立させる意向なのだそうだ。 率直に申し上げて、うんざりしている。 時期として手遅れになってしまったが、一応、思うところを書いておく。 タイミングのことを言うのなら、5カ月前の段階で既に手遅れだったと思う。さらに言えば、当件に関して、手遅れでないタイミングは、そもそも存在していなかったのかもしれない。自民党にフリーハンドを与えた以上、この日の来ることは既定路線だった。 これまでにも、当欄で特定秘密保護法案をとりあげる機会がなかったわけではないのだが、その度に、先送りにしていた。 理由は、ひとことで言えば、うんざりしていたからだ。 前半では、まず、私がこの話題を扱
今年10月22日、タモリさんは「笑っていいとも!」(フジテレビ)が2014年3月に終了することを、番組内で発表しました。タモリさんが司会を務める同番組が始まったのは1982年10月4日のこと。つまり31年半も続いた人気長寿番組が、ついに終了することになるのです。このニュースは、一般紙やNHKが報じるほどの大きな話題になりました。 これを受けて。週刊誌が最近、タモリさんに関連した記事を掲載するようになりました。例えば「友人、スタッフが明かした『伝説』の仰天真相」(女性自身・2013年11月12日号)、「『いいとも!』終了と森田一義の『人間宣言』」(週刊ポスト・2013年11月15日号)といった具合です。この機会にタモリさんの足跡を振り返ろうとする動きが、活発になっています。 さて言葉をテーマとする本連載にとっても、タモリさんは絶好の分析対象です。筆者は、タモリさんほど言語や言葉に対する感覚が
6月21日と22日、記者はトルコ最大都市・イスタンブールを訪れた。向かった先は、新市街と呼ばれるエリアの中心に位置する「タクスィム広場」。そこは当時、世界が最も注目する場所の1つだった。 反政府デモと警官隊の激しい衝突が続いていたためだ。 5月下旬、きっかけはささいな出来事だった。この広場に隣接する「ゲジ公園」の開発に対して、ある市民グループが反対運動を続けていた。開発に着手すべく、政府はこれを実力行使によって排除した――。どこにでも転がっていそうな話だ。だが、この政府の強硬な姿勢が、一部市民の鬱積していた不満に火をつけた。 怒れる市民がタクスィム広場に集結したのに対して、エルドアン政権はあくまで強硬な姿勢で臨んだ。反政府デモ隊と化した市民は火炎瓶を投じ、警官隊は催涙ガスと放水で応じた。対立は激化し続け、しかもトルコの地方都市にまで波及した。それでもなお、エルドアン首相は「反・反政府デモ」
池上 彰(いけがみ・あきら) ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。 池上:ここまで、社会的合意形成について伺ってきましたが、どうしてもひとつお聞きしたいことが出てきます。それは、原子力発電所、原発についてです。おそらく読者の皆さんも、ここまで読んできて、社会的合意形成
池上 彰(いけがみ・あきら) ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。 ここでおそらく大きなポイントとなるのが、ダム工事や河川改修など事業の主体である国や自治体が、積極的に合意形成をしようという姿勢を持つかどうか、だと思います。従来の自治体の立ち位置だと、あくまで合意形成
(前回から読む) 池上:河川改修のような公共事業を行っていく上で、社会的合意形成は不可欠であることが、前回までのお話で理解できました。とはいうものの、そもそも意見の合わないもの同士の間で合意を形成するのは難しい。合意形成、まず、どこから始めるのですか? 桑子:条件によってやりかたはいろいろありますが、最初に考えるべきは、話し合いの場とプロセスのデザインをどうするかということです。 池上:デザインするためには? 桑子:そのためには、それぞれの事案のステークホルダー=利害関係者の分析が非常に重要になってきます。この事案に関しては、いったい誰がステークホルダーなのか。それを知る必要があります。 次にそれぞれのステークホルダーの意見を把握する必要があります。英語でいうと、オピニオンですね。さらに重要なのは、その意見の理由、なぜそのような意見をもっているかということです。 これは、「どういうことに関
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