2004年3月26日。ひとつのニュース番組が最終回を迎えた。 ニュースステーション 日本の報道番組の在り方を良くも悪くも変え、様々な毀誉褒貶を浴び、時の政権すらこの番組の論調を気にかけ、時には過剰とも言える反応を示し、時には番組への圧力とも言える行動に出たことがあった。 そんな存在感を持った番組。なぜ、それほどまでにこの番組は存在感を得たのか。豪華なオープニング、綺麗で都会的な美しいセット、CGや模型を使ったわかりやすい解説。様々な要素が絡み合って番組が成立しているのは当然のことだが、ニュースステーションをニュースステーションたらしめていたのはたったひとりの男だったと思う。 久米宏。ニュースステーションのメイン司会者である。 通常、報道番組のメイン出演者は「キャスター」と呼ばれるが久米は自らの番組での立場を聞かれると必ずこう答えた。「私はニュース番組の司会者です」。 あくまでも司会者として