戦前の昭和の時代にホワイトソースが一般家庭に普及したといってもそれはやはり一部の家庭に限られました。 ホワイトソースの「白いシチュー」が日本全国に普及したのは何といっても戦後の学校給食を通じてでしょう。もっとも「白いシチュー」とはいっても、学校給食に登場したものには本格的なホワイトソースではなく、小麦粉でとろみをつけただけというようなものも少なくありませんでした。 昭和30年代テレビの料理番組のはじまりのころ、まだまだ食糧難の記憶も鮮明で、ローストビーフやステーキは夢のまた夢でした。そのころ家庭で作るシチューは、4人分としてせいぜい150〜200g程度の肉と、後は玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、コショー以外の香辛料はローリエ(月桂樹の葉)がぼつぼつ知られ始めたという状態でした。伝統的な日本の汁もの、けんちん汁や薩摩汁の中身が少々バタくさくなったものといってよいでしょう。 そしてその特徴はホワ