デマやフェイクニュースが拡散するのはなぜなのか。福島在住ジャーナリストの林智裕さんは「77.5%の人はフェイクニュースと知らずに騙されているという研究結果もある。『人を騙すための物語』をもっと警戒しなければならない」という――。 ※本稿は、林智裕『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 「やさしさ」こそが「正しさ」とされている 現代社会では、「やさしさ」が強く求められている。 「やさしさ」こそが「正しさ」であるかのように扱われ、「やさしくない」≒「正しくない」物事や対象は徹底的に排除される。そのため多くの人々は「間違えること」を極度に恐れ、もはや社会的に「やさしくない」「正しくない」(とされる)物事や、自らがその立場とレッテルを貼られることに容易には耐えられない。 「やさしさ」は、しばしば物語(ナラティブ)を紡ぐ。理不尽な抑圧と悲劇