その国とはブラジルである。それから40年の間に、同国は熱帯地域で初の農業大国になり、5大農産物輸出国(米国、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、欧州連合=EU)の上位独占を脅かす初めての国となった。 ブラジルが成功したという事実よりもさらに目を引くのは、成功に至ったその方法である。 ブラジルは、農業悲観論者が示唆する方向とは概ね反対の方法を取った。農業悲観論者にとっては、持続可能性は最も守るべき価値のある美徳であり、その実現には小規模農家や有機農法の奨励が最も適しているとされる。 彼らはモノカルチャー(単一栽培)や化学肥料に眉をひそめる。農業研究には好意的だが、遺伝子組み換え(GM)作物は毛嫌いする。食糧は国際市場よりも産地で販売されることが大事だと考える。 ブラジルの農地も、豊富な土地と水のおかげで持続可能な状態にある。しかし、ブラジルの農家は米国の農家と比べてさえ何倍もの規模がある。