菅野覚明『武士道の逆襲』 人力検索をしていたら、こういう質問があった。 “現代の日本人には戦前ほどの倫理の拠り所というものはないかもしれない。しかし、いまこそ、古代から日本人のDNAに刻まれている、「武士道」というものを再認識して、世界に通用する国を作るべきではないだろうか。” もはや質問じゃなくて意見であるが、まあ、それはおいておこう。 他方で、きょう、紀伊国屋書店新宿南店にいくと、文庫のコーナーには、新渡戸稲造『武士道』が平積みされており、「サラリーマンが新人に読ませたい本 第2位!」なるポップが。 このふたつの事象には、昨今の「武士道」ブームをめぐる状況が典型的に現れている。 映画「ラスト・サムライ」を一つの発端としつつ、背景には日露戦争百年をむかえ、あの戦争を再評価する空気とまぜこぜになって、新渡戸『武士道』の称揚がおこなわれている。 最初の質問(意見)には武士道精神は日本の古代か