3.中世盛期ヨーロッパ商品流通圏の構造: 中世ヨーロッパ経済の躍進は12世紀半ばシャンパーニュの大市の出現によって口火が切られた。パリ東南部に広がるシャンパーニュ地方の諸都市…では、1年を通じてどこかで市場が開かれていて、フランドルの毛織物を始め、イタリアからもたらされる東方の物産、例えば毛織物染色の媒染剤である明礬、染料,皮革,香料、胡椒などが容易に入手出来た。フランドル商人の中では、1127年アラスとサン・トメールの毛織物商人がシャンパーニュのバポームに現れてくるのが記録の初見で、1174年ミラノ商人が市を訪れて居るのが、イタリア商人登場の最初である。以後フランドル諸都市の承認はもとより、フランス、イタリア各地の商人が[集まる]ところとなったが、彼らはそれぞれ一種の国民的単位の団体を構成し、代表者を選出していた。シャンパーニュ伯は市場の繁栄を促進するため、市場の平和、取引の自由を保障し