福島第1原子力発電所の事故に対する国際評価尺度(INES)が、急遽(きゅうきょ)「深刻な事故」とされる「レベル7」に引き上げられた。経済産業省の原子力安全・保安院が、内閣府の原子力安全委員会の見解などを踏まえて発表した。暫定評価とはいえ、レベル7の意味は非常に重い。 INESの基準で最も重いレベルに相当するだけでなく、25年前に起きた史上最悪のチェルノブイリ原発事故とも並ぶからだ。日本政府の発表によって、世界の抱く福島事故の印象は、チェルノブイリ事故と完全に二重写しになって焼き付いてしまう。 ≪保安院の発表には矛盾≫ 菅直人政権は、レベル7評価の及ぼす影響を理解していないのではないか。事故の実態を国際社会に正しく伝え、誤解を是正していく活動に直ちに取りかからなければならない。 保安院の発表には矛盾がある。福島事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリの10分の1に過ぎないと認めている