科学史という研究分野をご存知だろうか。言葉をそのまま解釈すると、科学と歴史を組み合わせた学問というように捉えることができる。しかしながら、科学という言葉には多様な意味が含まれており、また歴史を調べるにしてもいつからいつまでの出来事をどのように分析するのか等、考える余地が多すぎるように思える。実際のところ、科学史研究はどのように進められているのだろうか。今回、国立科学博物館・有賀暢迪研究員に、科学史研究の基本的な考えかたや、実際の研究テーマに関してお話を伺った。 ーー科学史とは、何を明らかにするための学問なのでしょうか。 読んで字のごとく、科学の歴史を明らかにすることを目的としています。ただ、「科学」という言葉で何を指すかは、人によって違うのではないでしょうか。たとえば、教科書や論文に書かれているような知識そのものを「科学」と捉えることができます。この場合、科学的知見が得られて定着するまでの