科学者自身が最も犯してはいけないと考えている不正行為は、研究結果の「ねつ造」、「改ざん」、「盗用」だ。それにも関わらず、これらの行為に手を染める科学者は後をたたない。 原因を探る前に、研究業界における業績評価システムについて簡単にまとめておきたい。 科学者が行った研究結果は一般に論文という形でまとめ、学術雑誌に発表される。この論文が評価対象となるわけだが、この時、重要なポイントが2点ある。1点目は、点数は数でなく「この発見がどれだけ他の発見に影響を与えうるか」という視点で算出されること。これは、科学は連綿とつづく先人の成果の上に成立しているためなのだが、発表された時点ではその影響度を正確に見積もることはできない。そこで、掲載された学術雑誌の評価(インパクトファクター)が便宜的に使用される。つまり、評価の高い学術雑誌に掲載されればそれだけ業績があがるという仕組みだ。ちなみに、Nature,