鈴木宣弘『食の戦争』(文春新書)を読む。副題が「米国の罠に落ちる日本」というもの。カバーの袖の惹句から。 いま、世界で「食の戦争」が進行している−−。遺伝子組換え作物が在来作物を駆逐し、ごく少数の企業が種子の命運を一手に握る。金の論理で「食」をコントロールするアメリカの狡猾な戦略を前に、無策の日本はどうすべきか。危機の本質と処方箋を考える。 毎日新聞に松原隆一郎による本書のすぐれた書評が載っていた(2013年10月8日)。 ……著者は農水省で国際交渉にかかわった体験をもとに自由化にさらされる我が国の貿易政策を現場から分析、牛成長ホルモンや遺伝子組換え(GM)技術の危険性も訴えてきた。この分野の第一人者として、本書はその最新報告書である。 主張は明確だ。TPPは「外交交渉」という紳士的な語感から連想される生ぬるいものではなく、ズバリ「食をめぐる戦争」で、「今だけ、金だけ、自分だけ」の利益を追