創業360年で、滋賀県内でも有数の歴史を誇る大津市中央3丁目の和菓子店「藤屋内匠(たくみ)」が今月末で閉店することになった。江戸期から大津を代表する菓子の老舗として愛されてきたが、店主が79歳と高齢で後継者もなく、断腸の思いでのれんを下ろす。 藤屋内匠は1661(寛文元)年、現在の場所で創業。京都御所に献上し、膳所藩や石山寺などに御用菓子を納めてきた。米飴(こめあめ)を練り込んだあんを包んだ「汐美(しおみ)饅頭(まんじゅう)」や、近江八景をかたどった落雁(らくがん)などが江戸期以来の看板商品だ。 店主遠藤仁兵衛さんは、膳所高生時代から菓子作りを手伝い、先代の祖父が亡くなったのを機に、24歳で店を継いだ。初代から店主が「遠藤仁兵衛」を名乗る習わしで、元の名前「栄一」から戸籍も替えて13代目に。「いい材料で心を込めて作る」を信条にのれんを守ってきた。 昭和から平成の初期、藤屋内匠の商品は贈答品
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