豊洲市場問題は、石原慎太郎元都知事が都議会特別委員会での参考人招致に応じることになり、今後ますます「過去の話」に焦点が当たるようになってきた。しかし、それは都民にとって望ましいことだろうか? 過去の経緯を明らかにしてほしいという気持ちはもちろん私も持っているが、そのために都議会議員を始めとする人々が費やすエネルギーを考えると、そのエネルギーを未来に向けた議論に振り向けるべきだと思わずにはいられない。 豊洲市場の問題は、日本の漁業問題と密接にリンクしている。そういう議論が都庁や都議会からまったく聞こえてこない。豊洲市場がずっと「政争の具」であったことは否めないが、現在の小池百合子知事のやり方は政治利用の度が過ぎはしないか。移転の決断をずるずると先送りにすれば、補償金という目に見える負担だけでなく、移転を機に世界に打って出ようとしていた漁業関係者のやる気をそぐという目に見えないマイナスが出てく