ヴィルジニー・デパント著『キングコング・セオリ―』の刊行に際して、訳者の相川千尋さんにエッセイ「常に自分自身でありすぎる女として──はみ出し者のためのマニフェスト『キングコング・セオリー』」をご寄稿いただきました。世界中のフェミニストから支持を集める、この力強く、刺激的なフェミニズムの名著との出会い、その翻訳に込めた思いを綴っています。『キングコング・セオリー』を翻訳した。自分で持ち込みをした企画なので、出版できてとても嬉しい。原書は2006年に出た少し古い本だけど、フランスではよく知られた著者のよく読まれているエッセイであるし、日本に紹介したかった。 原書を初めて読んだのは、2018年のゴールデンウィークだった。特に予定もないゴールデンウィークで、私は有楽町のフランス風ブラッスリーのテラス席に、当時私の夫だった男と並んで座って時間をつぶしていた。 だから私はその時、人前で本を読んでいたわ