荒井賢蔵さんやほかの生産者が今年収穫したコメが保管されている倉庫=長野県信濃町で2020年10月13日午前11時52分、井川加菜美撮影 コメの国内需要が急速に落ち込んでいる。人口減少や食生活の変化で下落傾向だったところに、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけた。農林水産省が示した2021年産の主食用米の適正生産量の見込みは693万トンと、700万トンを割り込んだ。供給が需要を上回る「コメ余り」は深刻化し、米価の下落が止まらない。実りの秋なのに、コメ農家の苦悩は深まる一方だ。【井川加菜美】 「今年はだいぶ差がついた」。長野県信濃町のコメ農家、荒井賢蔵さん(73)は肩を落とす。約10ヘクタールの水田にあきたこまち、コシヒカリ、ミルキークイーンの3品種を育て、収穫の時期を迎えている。しかし、買い取り価格(60キロ)は昨年に比べ、あきたこまちで約700円、コシヒカリで約300円下がるという。