ブックマーク / p-shirokuma.hatenadiary.com (16)

  • 現代人は本当に思想に飼われている - シロクマの屑籠

    president.jp リンク先の文章は、拙著『人間はどこまで家畜か』を一部引用しつつ、ひとまとまりの読み物として再編成しプレジデントオンラインさんに載せていただいたものだ。私たちは資主義にいいように飼い馴らされ、その資主義をますます充実させるための資の乗り物、それか家畜として使役されちゃっていませんか? といった話が中心になっている。 だが、現代人のマインドに根を下ろし、現代人をいいように飼い馴らし、現代人を動機づけている思想は資主義だけでもあるまい。 ぜんぶ挙げようとするときりがないが、『人間はどこまで家畜か』では、現代人を飼い馴らす思想として、資主義に加えて個人主義と社会契約、それから功利主義を挙げている。思想などという実体のないものに何ほどの力があるのか? と疑う人もいらっしゃるだろうし、そうした思想をつくりだしたホッブズやルソーやベンサムといった思想家の重要性は実感し

    現代人は本当に思想に飼われている - シロクマの屑籠
  • 反出生主義という人類滅亡のミーム - シロクマの屑籠

    ※この文章は、黄金頭さんへの返信のかたちをとった、私なりの反出生主義についての考えをまとめた文章です※ blog.tinect.jp こんにちは黄金頭さん、p_shirokumaです。拙著『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書)』をお読みくださり、ありがとうございました。今回私は、どうしてもこのを読んでもらいたいブロガーさん数名におそれながら献させていただきました。受け取ってくださったうえ、ご見解まで書いてくださり大変うれしかったです。 『人間はどこまで家畜か』を黄金頭さんに献したかった理由は2つあります。 ひとつは、黄金頭さんが書いたこのブログ記事のおかげで『リベラル優生主義と正義』に出会えたからです。 リベラル優生主義と正義 作者:桜井 徹ナカニシヤ出版Amazon 今は8000円台で推移していますが、一時期、このには30000円ぐらいのプレミアがついていま

    反出生主義という人類滅亡のミーム - シロクマの屑籠
  • 裏日本出身者から見た東海道新幹線の車窓風景 - シロクマの屑籠

    裏日出身者から見た東海道新幹線の車窓風景の感想を一言でまとめると、「どこも豊かですね」となる。 ビジネスで大阪と東京の間を行ったり来たりしている人にとって、東海道新幹線の車窓風景なんて一生懸命に眺めるものではあるまい。ありふれた風景がどこまでも続く、退屈きわまりないものだろう。 が、それは表日の出身者にとってのこと。裏日出身者から見た東海道新幹線の車窓は、いろいろ刺激的だ。率直に言って、うらやましい景色でもある。人口の集中、鉱工業の発展、肥沃な耕作地と温暖な気候、そして富士山をはじめとする風光明媚な景観。 同じ日でも、裏日と表日には風景に違いがある。そういう違いを前提に、東海道新幹線の車窓風景についてちょっとだけ。 静岡、浜松、大津にのぞみは止まらない 東海道新幹線に乗る人には当たり前すぎることだけど、静岡、浜松、大津にはのぞみは止まらない。そもそも滋賀県には県庁所在地に新幹線

    裏日本出身者から見た東海道新幹線の車窓風景 - シロクマの屑籠
  • 教養としての『ダンジョンズアンドドラゴンズ(D&D)』 - シロクマの屑籠

    はじめに ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) 作者:九井 諒子KADOKAWAAmazon アニメ『ダンジョン飯』が人気ですね。 ダンジョンで飯をうという非常識がグルメにもギャグにもなっていて、いちおうシリアスな話も進行していく『ダンジョン飯』。今日のお題は、そのインスパイア元っぽいRPG『ウィザードリィ』のさらにご先祖様の『ダンジョンズアンドドラゴンズ』(以下『D&D』と表記)です。 今、『D&D』の雰囲気をいちばん簡単・忠実に味わえる作品といえば『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』でしょうか。 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray] クリス・パインAmazon 『アウトローたちの誇り』は、種族も性格も技能も違うキャラクターたちが喧嘩したり協力しながら旅を続ける物語ですが

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  • 『人間はどこまで家畜か:現代人の精神構造』が出版されます - シロクマの屑籠

    人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書) 作者:熊代 亨早川書房Amazon 先日、大和書房さんから『「推し」で心はみたされる? 21世紀の心理的充足のトレンド』が発売されたばかりですが、今度は早川書房さんから『 人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書)』という書籍を発売していただくことになりました。 私がつくる書籍には2つのタイプがあって、ひとつは、現代人が心理的にも社会的にもうまく適応していくためのメソッドに重心を置いたもので、1月に発売された『「推し」で心はみたされる?』はその典型です。もうひとつは、現代社会という巨大なシステムがどんな構造や歴史的経緯から成り立っていて、私たちにどんな課題が課せられ、どういった現代特有の生きづらさを生み出しているのかを考えるタイプの書籍で、2月21日発売予定の『人間はどこまで家畜か』は後者のタイプにあたります。 同

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  • 黄金頭さんへ(ベンゾジアゼピン系薬物についての返信) - シロクマの屑籠

    こんにちは、黄金頭さん。熊代です。 今日はいくらか精神科医っぽいスタンスで返信させていただけたら思います。 1月17日のbooks&appsの寄稿記事、興味深く拝読しました。 物心ついた頃から社交不安症に当てはまっていそうだったこと、それがベンゾジアゼピン系抗不安薬によって改善したこと等について、黄金頭さんらしい文体で綴られていると感じました。また、後半では最近のベンゾジアゼピン系薬剤への警鐘がいったい何なのか・実際には処方されているのではないか、といった疑問も綴られていました。以前にお書きになっていた「結局、ベンゾジアゼピンって長期的に飲んでいいの?」を念頭に置きながら、私の考えていることを返信してみます。 現代の学会や精神医学のガイドラインはベンゾジアゼピンの長期投与に否定的 はじめに、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の使用について、標準的な治療ガイドラインが何を言っているか確認してみましょ

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  • 「後藤ひとりと喜多郁代はよくできたナルシスト」って説明した時の話 - シロクマの屑籠

    昔、ある編集者さんと「いいね」や「推し」について喋っていた時に、「『いいね』も『推し』も有害なんじゃないですか?」といった質問をいただいたことがありました。 「そんなことはありません。有害になってしまう人もいるけど、ほとんど無害な人もいるし、有益になっている人もいますよ」と私は答えました。なるほど、『いいね』や承認欲求のために迷惑なことをする人もいるし、金銭的・社会的に破綻するような推し活しかできない人もいます。でも、そんな人は少数派でしかなく、世の中にはそれらを飛躍の原動力にしている人だっています。 このことを編集者さんにわかりやすく説明をしなければなりません。そのとき、私の脳裏に『ぼっち・ざ・ろっく!』の結束バンドの四人組、なかでも後藤ひとり(通称・ぼっちちゃん)と喜多郁代(通称・喜多ちゃん)が脳裏に浮かびました。 青春コンプレックス(初回仕様限定盤) アーティスト:結束バンドアニプレ

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  • いつまでも あるかわからぬ 長寿の国 - シロクマの屑籠

    今日、ある方から「日人のエイジングについて」質問をいただいたこともあり、久しぶりに日人の平均寿命についてググってみたんですよ。そうしたら、以下のような読み取りやすいグラフがあって。 *こちらのグラフは高齢者住宅ジャーナルさんが出典となります* 皆さんは、この表を見て何を感じますか。病院に勤務している人なら、2020~2021年あたりは高齢者があまり亡くならない年だった、そのぶん2022年は亡くなる高齢者が多かった、などと思い出すかもしれません。コロナ禍の影響はここにも現れていますね。 私は、ぼんやりグラフを眺めながらこう疑問に思いました。「20年後、同じぐらい高齢者の平均寿命は長いものだろうか?」と。 このグラフの目の付けどころはどこでしょう? 医療行政の充実や医療技術の発展によって平均寿命が延びているさま、ひいては国民の健康が促進されているさま、と着眼する人は多いでしょうし、それ自体

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  • 認知機能がギリギリで保たれている高齢者について少し - シロクマの屑籠

    ちょっと高齢者の健康についてしゃべりたくなったので、しゃべらせてください。 [B! 医療] 「こんなに急に悪化するとは思わなかった」これから親を看取る人は知っておきたい"老衰死の経過" いつ墜落するかわからない低空飛行中の飛行機の状態 2022年の10月頃、なとろむ先生*1が、いきなり容体が悪化する高齢者の話をなさっていた。誤嚥性肺炎や心不全といったかたちで心臓・肺・腎臓の機能が一気に悪化する。でも、それは当の意味で急激に悪化したのでなく、もともとエイジングによってかなり弱くなっていたのだ。ちゃんと機能を保つギリギリの低空飛行をしていたものが、そのギリギリが保てなくなってホメオスタシスを維持できなくなった高齢者のケースは、医療に携わる者なら誰でも出会ったことのあると思う。 だから高血圧や肺気腫を放置していても元気に振舞っている高齢者も、案外、そのホメオスタシスは余裕綽々で保たれているわけ

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  • どんな人が・なぜ身体拘束の対象になっているのか──疾患分類からみえること - シロクマの屑籠

    東京新聞の記者が日精神科病院協会(日精協)の会長にインタビューした記事が掲載されていた。 www.tokyo-np.co.jp この記事は、精神科病院での身体拘束を問題視し、その必要性を述べている日精協会長の発言まで問題視するもののようにみえる……が、あまり迫力ある主張になっていなかった。 これは、精神保健指定医である私が見てそう感じただけでない。個人の自由を尊重する価値観の多いはてなブックマークのユーザーの反応も、そのようなものだった。 [B! 医療] 身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…:東京新聞 TOKYO Web この、はてなブックマーク上の反応をみる限り、多くの人は事態がそれほど単純ではないことを見抜いている様子だった。 身体拘束をはじめとする行動制限については論点がたくさんあり、全てを論じようとすれば一冊の書

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  • タイトルすら読めない人の「声」は今のネットに存在するか - シロクマの屑籠

    note.com 先日、狂人を名乗っている小山さんが、「論破王」ひろゆきさんとtwitterで「議論」になった一部始終をnoteにまとめてらっしゃった。その内容は、ひろゆきさん自身に焦点を当てるよりも、ひろゆきさんのファン層に焦点を当てた内容だった。 小山さんは驚きをもって語る。「日語は読めないけれど論破したい」という欲望が存在する、と。ひろゆきさんのファンからの声には、論争内容を理解したコメントがぜんぜんなくて、まったく論争内容を理解していないコメントが無限に飛んでくる、と。 自分はインターネットに20年以上どっぷり浸かり、不毛なネット論争を何十何百と繰り返してきたわけなのですが、ここまでファン層の知的レベルが低いのは確実にひろゆきさんが初めてだと思います。というか、おそらくは「論争」という知的(?)遊戯を嗜まない層にまでひろゆきさんの影響力は波及している。論争の当事者になることで、そ

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  • 生きに生きて40歳、俺らは結構長く生きた - シロクマの屑籠

    pha.hateblo.jp phaさんのエッセイは、焼きたての手作り菓子のようで、そのようなエッセイにツッコミや言及を入れるのは野暮であり、無粋でもあるのだけど、寒くてどこにも出かけたくない気分だったので、これを書くことにした。 まずphaさんへの私信のようなものとして。 「過ぎ去った若さについて書くとしても、50代になってから書くと、もう完全に枯れきった感じの遠い目線になってしまうと思うんですよ。でも、40代初めの今ならまだみずみずしい喪失感を書けるんじゃないでしょうか」 確かに、それはそうかもしれない。それは今しか書けないことな気がする。 40代くらいで、僕と同じような虚無を抱いている人は他にもいるだろう。そういう人たちに向けた文章になるのだろうか。中年には中年にしか書けないことがあるのかもしれない。そういう方向性でちょっとやってみようか。 https://pha.hateblo.j

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  • 「しょっちゅう人手不足になるところでは働くな」が本当ならば - シロクマの屑籠

    blog.tinect.jp 「しょっちゅう人手不足になるところでは働くな」。 上掲リンク先は、いくつかのバイト体験を例示しつつ、人手不足のところには何かしらそうなる理由があるから働くな、それは地雷だ、といったことを教訓的に記した文章だ。文章の前のほうに「バイトだろうが正社員だろうが、これはたぶん同じだと思う」と書いてあるので、一般論として読み取るよう書かれているのだろう。 では、この文章を一般論として読み取っていった時、どんな展望が開けるだろうか。 この文章についたはてなブックマークには、同じ現象があてはまりそうな複数の例が挙げられている。また、いつも人手を募集している業種や企業に対して警戒感を持っている人が少なくないことも伺われる。 ところで、人手不足なのは企業だけではないし、仕事上のことだけでもない。 世の中を見渡せば、私生活の領域においても人手不足を訴える声が聞こえる。もちろんそう

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  • 子どもがいてもいなくても、世界について考えるのは難しくなってると思う。 - シロクマの屑籠

    ta-nishi.hatenablog.com リンク先の文章は、子どもを持たない大人が増えることで自分の代までしか考えない人も増え、世界の持続可能性が危機にさらされるのではないか、といった趣旨だ。「私の死んだ後のことなんかどうでもいい」と皆が考えるようになり、後々の世界に思いを馳せなくなったら、世界の持続可能性は怪しくなるだろう。欧米を中心に若い人たちが世界の持続可能性について大きな声をあげ、その槍玉に挙げられているのがそのような大人たちであることを思い出したりした。 セカイ系とは何か ポスト・エヴァオタク史 (SB新書) 作者:前島 賢SBクリエイティブAmazon でもって、リンク先の筆者は「セカイ」というサブカルチャーの語彙を使って、そうした大人たちの世界観が自分を中心とした狭い範囲にとどまっていること、ために未来を志向しない自己中心的な死生観を持っていることを指摘している。親に

    子どもがいてもいなくても、世界について考えるのは難しくなってると思う。 - シロクマの屑籠
    mozuyanniarazu
    mozuyanniarazu 2021/11/09
    “子どもがいてもいなくても世界について考えるのは結構難しいとみているし、自分自身を顧みても、どこまで考えているといえるのか、疑わずにいられなくなる。”
  • 解呪と供養のためにシン・エヴァンゲリオンを観に行く - シロクマの屑籠

    『シン・エヴァンゲリオン劇場版』予告・改【公式】 公開情報と延期情報が行ったり来たりしていたシン・エヴァンゲリオン劇場版の日がとうとう近づいてきた。 シン・ヱヴァンゲリヲンではなくシン・エヴァンゲリオン。 10年ほど前は、こういうカタカナの違いを云々する30代のオタク古参兵みたいな人が仰山いたような気がするが、それも記憶の彼方となった。アマゾンプライムやテレビ波で『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』の過去三作が公開され、SNSで話題になることもあったけど、もう、カタカナの違いにこだわって大きな声をあげるような人は稀だ。エヴァンゲリオンを一生懸命に語ること、それも、90年代や00年代のようにエヴァンゲリオンを語ることはとても難しくなっている。 なんか大人の人めっちゃエヴァ好きですよねwって言われて死にたい— こじま (@801_CHAN) 2021年3月5日 801ちゃんはこんな風に言うのけど、俺

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  • 「TPOのできた発達障害な人でも働きにくい社会」とそのコンセンサス - シロクマの屑籠

    私の場合、診察室はもとより、私生活でも「大人の発達障害」と診断された人によく出会う。私が好きで好きでしようがないインターネットやサブカルチャーの領域にも「大人の発達障害」と診断される人がごまんといて、彼らなりに活躍していたり苦労していたりする。 「大人の発達障害」と診断される人々に診察室で出会っても、プライベートで出会っても、彼らの大半は礼節や礼儀作法をしっかり身に付けている。少なくとも、そういったTPOがなっていない人にはあまり出くわさない。もちろん、空気を読んで当意即妙の発言ができる/できないであるとか、会話中の手足の挙動とか、そういった部分から発達障害の特性が垣間見えることは、ある。けれども古典的な自閉症のような重度の発達障害ならいざ知らず、「いまどきの大人の発達障害」と診断されている人のなかには一定のTPOを身に付けている人がたくさんいるし、そのおかげでプライベートな付き合いが成立

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