突如、世界が回りだす いつも通りの朝をいつも通りに起きて、いつも通りの毎日が始まるはずだったのに、朝日とともに猫が起きださないように、雨戸を締め切った部屋を出ると、世界が回っていた 梅雨の晴れ間、まばゆい日差しの中で家がぐるんぐるん回っている。目の前にまっすぐ伸びた廊下は回らず固定されているが、その廊下の下を壁がくぐり抜け、結構なスピードで回り続けている 時空の壁を超えるのか。それとも異次元への入口・・・、まさか宇宙の旅!? 若ければ、こんな風に心臓をバクバクさせたのかもしれないが、いかんせん、この歳では思考の浮遊はなく、頭に浮かんだのは、ビックリハウス。家の壁がぐるぐる回って、バランス感覚が崩れる恐怖を体験する遊園地のアトラクションだ。子どものころ、ワーキャー騒いでいたなと、さほどおかしくも懐かしくもないことを思い出していた そのまんまんの景色が目の前にある。しかし、このまま突っ立ってい
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