サイボウズ社内ではC++で開発している製品があります。 未知のバッファオーバーランなどの脆弱性への対策として、重要なコンポーネントについてはプロダクション環境で利用しているバイナリでも AddressSanitizer を有効にしてビルドしています。 その製品で利用しているコンパイラをgcc5.3.0からgcc7.5.0に更新したところ性能劣化が発生しました。 製品コードとは別の部分が原因のため、根本原因の追跡が難しそうです。perf,bpftraceを使って性能劣化を追いかけてみましょう。 本記事で利用しているAddressSanitizer, bpftrace, perfコマンドはネット上に良質な記事がありますので、使い方などの解説は今回は省略させていただきます。 gcc7.5.0において、性能劣化が発生する再現コードとして次のようなものを用意しました。 #include <strin