設計者や施工者は、免震偽装のトラブルを事前に回避できなかったか――。国土交通大臣認定の性能評価基準に適合しない免震部材を東洋ゴム工業が使用していた問題は、建築専門家が果たすべき役割や責任範囲を考え直す契機になった。 今回の免震偽装事件では、東洋ゴム工業の子会社の社員が、免震部材の性能ばらつきを許容範囲に収まるようにデータを改ざんしたと言われる。具体的には、実験用の振動数(0.015Hz)を地震想定の振動数(0.5Hz)に換算するときの補正係数に手を加えた。こうしたデータの不正を、設計者や施工者が発見することは難しい。今回の事件で「設計者や施工者に責任はない」とする意見が多いのはそのためだ。 しかし、本当にトラブルを回避する方法はなかっただろうか。免震部材には、問題となった高減衰積層ゴムだけでなく、天然ゴム系積層ゴム、鉛プラグ入り積層ゴム、弾性すべり支承などさまざまな選択肢がある。それらの幅
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