ロボットみたいにするからロボトミー、と思ってる人がもしかしたらいるかもしれないが、それは違う。そんな率直な(笑)名前、いくらなんでもつけるわけがないではないか。第一、ロボットはrobot、ロボトミーはlobotomy。綴りが違う。 ロボトミーのlobo-というのは、中肺葉とか前頭葉とかの「葉」という意味。一方、-tomyは切断とか切除を意味する。いわゆるロボトミーは、正式にはprefrontal lobotomyといい、「前部前頭葉切截術」と訳されている。つまり、前頭葉の前の方を切っちゃうぞ、ということだ。 この手術を発明したのは、ポルトガルのエガス・モニス(1875-1955)。リスボン大学神経科教授にして、下院議員や外務省高官を歴任した政治家という人物である。1910年のポルトガル共和国樹立に参加し、政党党首や大臣も務めているし、マドリード駐在の大使だったこともあれば、ヴェルサイユ条約