灰崎正義。 正義と書いてまさよしと読む。 真夜中、正義は安アパートの灰色の天井をぼうっと眺めながら、考えている。 内容は、毎晩同じ。名前の正義とは似ても似つかない、今の自分の状況についてだ。 コンサルタント。灰崎正義の仕事を一言で表すとそうなる。 元々、就職活動をしている時、どこからも内定が出ず、困っている時に唯一声をかけてきてくれたのが、聞いたことのないコンサルティング会社だった。 コンサルティング、という横文字に何となく憧れ、その時は他に道がなかったこともあって新卒でそこに入社。コンサルタントとなった。 最初、スーツを着て出社する際は、自分はこれからコンサルタントだとどこか誇らしい気持ちになったものだ。 が、入ってすぐに分かったのは、まず会社がブラック、そしてそれ以上にクライアントがブラックなことだった。 要するに、正義の仕事は顧客のトラブルの解決だった。それも、ほぼ確実にクライアント