北朝鮮が29日に発射した弾道ミサイルについて日本政府は事前に兆候をつかんでいた。しかし、不完全な情報で不安をあおるリスクや情報収集を他国に依存している事情を考慮し、公表して国民に注意喚起することはなかった。 「ミサイルの動きを完全に把握し、危機管理に万全の態勢をとった」 安倍晋三首相は29日、記者団や参院予算委員会で繰り返し強調した。 政府内では2日前の27日からミサイル発射の兆候を捉えた情報が駆け巡った。首相は官邸から車で約15分の自宅には帰らず、官邸隣の公邸に連泊した。菅義偉官房長官は衆院赤坂宿舎から駆けつけ、ミサイルがまだ飛んでいる最中の午前4時すぎに臨時会見を開き、「我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下するとみられる」と予測した。 ミサイル発射後の初動は迅速だが、日本政府はこれまでもミサイル発射や核実験の兆候を事前公表したことはない。 背景には、情報収集や分析を米国や韓国に大き