前回の末尾に、厚労省の「日系人」失業者追放策について、これが朝鮮人に対する排外的主張を誘発する可能性がある、それほど日本のレイシズムは根深い、と書いたが、もう少し踏み込んで厚労省の今回の「在留資格喪失条件付帰国支援」策を検討したい。 そもそも厚労省が「在留資格喪失条件付帰国支援」なる策を考案せざるを得なかった背景には、「日系人」の独特の法的地位があると考えられる。当然ながら、この策の対象となる「日系人」は外国人に限られる。日本国民に対してはこうした方策は採れない。自己あるいは父母のルーツが日本国外にあるとしても、日本国籍を取得すれば本人の居住権は憲法上の保護を受けるからである。その一方で、単なる追放・送還強化策ではなく、厚労省が「在留資格喪失条件付帰国支援」という形式を採らざるを得なかったのは、「日系人」のうちその在留資格が「定住者」あるいは「永住」であるものが少なくないからであろう。 「