ワープロと視覚障害者 福井哲也 ワープロがもつ意味 ワープロの出現で、視覚障害者は自力で墨字を書きたいという長年の夢を実現した、とよくいわれる。ワープロの出現以前、視覚障害者(全盲者・強度弱視者)が墨字を書くには、仮名タイプライターを使うか、晴眼者に代筆してもらうしかなった。しかし、仮名タイプライターでは、漢字が書けないのが最大のネックであった。私信ぐらいならよいが、仮名だけの文章を正式の場面で通用させることは、なかなか難しい。また、晴眼者に代筆してもらう方法も、時間や場所が制約されるし、個人の秘密を守る上でも問題があった。中途視覚障害者を中心に、ハンドライティング(ペンで墨字をさぐり書きすること)ができる人もいるが、これも使える場面が限られている。そんなわけで、視覚障害者にとって「書く」ことのハンディは非常に深刻だったのである。 その点、欧米では大いに事情が異なっていた。それは、今世紀初