上部消化管内視鏡やCT検査など、がんの検査には一定の苦痛やリスクを伴うものが多いです。もし、微量の血液や尿でがん検査ができれば素晴らしいことです。すでに商業化されている検査法の一つに尿1滴で15種類のがんリスクがわかると称されているがん線虫検査(N-NOSE)があります。 線虫ががん患者の尿に反応すること自体は事実だとみなしていいでしょう。科学的には興味深い現象で、研究が進むことを願っています。ですが、臨床の現場におけるがん検査の使用に耐えうるほどの性能があるかどうかはわかっていません。とくに、がん検診、つまり無症状の人たちを対象に使用するのは時期尚早です。 まず第一に、がん線虫検査を受けると、受けない場合と比較して、がん死亡率が減少するかどうか検証されていません。付け加えて、がん検診を受けるような集団における検査の性能もわかっていません。検査の性能は、感度や特異度で表されます。感度はがん
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