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ブックマーク / natrom.hatenablog.com (122)

  • 有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできない - NATROMのブログ

    平岡厚さんとHPVワクチンの安全性に関する対話をはじめたわけ 2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは『HPVワクチン論争を再考する 推進派の主張の問題点を中心に』といった和文論文にて「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。 一方で、HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスです。私の知る限りではHPVワクチンの定期接種が薬害の疑いのために中止になった国はありません。日においても、定期接種は中止にはなっておらず、積極的な勧奨が差し控えられていた過ぎません。それでもWHOから「乏しい証拠に基づいた政策決定」だとして名指しで日は批判されました。その後、日でも2022年から積極的勧奨は再開されました。「相当規模の薬害」の存在を

    有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできない - NATROMのブログ
  • 和田秀樹先生、検診を受けていないほうが肺がん死が少ない研究ってどの研究ですか? - NATROMのブログ

    先日、『80歳の壁』など多くの著作で知られる医師の和田秀樹先生とX(元Twitter)で対話させていただく機会がありました。高血圧による脳出血のリスクや和田先生が自身のクリニックで提供している高額な医療のエビデンスについて質問いたしました。■和田秀樹氏に答えていただきたい3つの質問にまとめています。和田先生からは「これまでのやりとりを公開して、このような短いバージョンでない形で反論させていただきます」とのお返事をいただきました。まことにありがとうございます。約1か月間が経ちますが、いまだに「短いバージョンでない形での反論」がありません。もちろん、医学的正確さを心掛けれるならばそんなに早くは反論できないということもあると承知しています。不正確でもいい文章なら気軽に量産できます。私には信じがたいことですが、医学的に不正確な内容のを大量に出版する医師もいます。読者の健康と命を印税に替えているよ

    和田秀樹先生、検診を受けていないほうが肺がん死が少ない研究ってどの研究ですか? - NATROMのブログ
  • 「線虫がん検査」の感度・特異度は過大評価されている - NATROMのブログ

    上部消化管内視鏡やCT検査など、がんの検査には一定の苦痛やリスクを伴うものが多いです。もし、微量の血液や尿でがん検査ができれば素晴らしいことです。すでに商業化されている検査法の一つに尿1滴で15種類のがんリスクがわかると称されているがん線虫検査(N-NOSE)があります。 線虫ががん患者の尿に反応すること自体は事実だとみなしていいでしょう。科学的には興味深い現象で、研究が進むことを願っています。ですが、臨床の現場におけるがん検査の使用に耐えうるほどの性能があるかどうかはわかっていません。とくに、がん検診、つまり無症状の人たちを対象に使用するのは時期尚早です。 まず第一に、がん線虫検査を受けると、受けない場合と比較して、がん死亡率が減少するかどうか検証されていません。付け加えて、がん検診を受けるような集団における検査の性能もわかっていません。検査の性能は、感度や特異度で表されます。感度はがん

    「線虫がん検査」の感度・特異度は過大評価されている - NATROMのブログ
  • 『週刊現代』のジレンマ - NATROMのブログ

    以前、マスコミからのインタビューに対する報酬について話題になった(■「孤独のグルメ」久住先生が報酬・校正無しの取材を断った件で浮上した、『無償による真実性』という原則とそれに対する疑問の声 - Togetter)。私も、ときにメディアから取材やインタビューの依頼を受けるが、報酬は発生したりしなかったりする。これまでの経験では、週刊誌系メディアでは報酬が発生するのに対し、新聞系メディアでは発生しないことが多い。 無報酬を原則とする言い分も理解はできる。あくまで私の経験の範囲内だが、平均すると、無報酬のメディアのほうが質の高い記事が多い。謝礼を払うと、謝礼目的の有象無象の情報が集まりやすいという面はあろう。週刊誌の医療記事では、「お前はいったい何の専門家だ」と問い詰めたくなるような「常連」のコメンテイターが記事の質を下げている。記事を書く方にとっては都合のよい「専門家」のコメントが得られ、コメ

    『週刊現代』のジレンマ - NATROMのブログ
  • 「血圧200を放っておいたが問題なかった」などと放言する医者を信じてはいけない! - NATROMのブログ

    プレジデント2022.10.14号で「信じてはいけない!健康診断、医者、クスリ 最新版・コロナ対応 病院に頼らない生き方」という特集が組まれ、養老孟司氏と和田秀樹氏の対談が掲載されました。その対談から和田氏の発言部分を引用したツイートが6000件以上のリツイート、1.6万件以上の「いいね」がされました。 これ、もう答え出てるじゃん。 プレジデント 2022.10.14号 和田秀樹氏 pic.twitter.com/AW5M7xfsCK— のりのりもふもふ (@SFtFQjTAUuQzPVF) October 6, 2022 引用された和田氏の発言は「財政破綻した夕張市が結果的に社会実験になりました。市民病院が廃院になって、19床の診療所だけになり、しかも無料バス廃止で通院に1000円かかるようになり、多くの人が医者にかかれなくなった。市民の健康状態は悪化するのかと思われたが、ほとんどの病気

    「血圧200を放っておいたが問題なかった」などと放言する医者を信じてはいけない! - NATROMのブログ
  • 興和のイベルメクチン臨床試験は失敗ではない - NATROMのブログ

    イベルメクチンはもともとは寄生虫に対する薬だったが、試験管内で抗ウイルス効果が確認され、新型コロナに効果があると期待する医療者もいた。興和株式会社が新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの第3相試験を行っていたが、このたび、主要評価項目に統計的有意差が認められなかったとの発表があった。 ■興和/新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「K-237」(イベルメクチン)の第Ⅲ相臨床試験結果に関するお知らせ 軽症の新型コロナ患者約1000人を対象に、イベルメクチン0.3~0.4 mg/kgを1日1回3日間経口投与した群とプラセボ投与群とにランダムにわけ、168時間(7日間)経過するまでに臨床症状が改善傾向にいたる時間を二重盲検下で評価した。興和の発表によれば、実薬群およびプラセボ群いずれの群でも投与開始4日前後で軽症化し、有意差は認められなかった。 医学界に与えるインパクトは小さい。

    興和のイベルメクチン臨床試験は失敗ではない - NATROMのブログ
  • 抗がん剤を否定する自称医師のツイートへの注意喚起 - NATROMのブログ

    抗がん剤治療は臨床的に効果が確認された標準治療である ある自称医師が術後補助化学療法(がん組織を外科的に切除した後の抗がん剤治療)を否定するツイートしており、現時点でリツイートは1600件を超え、いいねも7000件を超えています*1。ですが、かの自称医師のツイートは誤りです。いくつものがんで、術後補助化学療法ががんの再発を減らすことが臨床試験で確認されており、世界的に標準治療となっています。たまに「抗がん剤治療が行われるのは日だけ」というデマを散見しますが、たとえば"adjuvant chemotherapy"(術後補助化学療法)で検索してください。いまは自動翻訳の精度も上がったので騙される人は減っていると思います。 自称医師のツイートは「がんの手術後に微小な取り残しがあるといけないと医師は抗がん剤を勧めるが、がん細胞はふだんから1日5000個はできているのだから全員に抗がん剤を使わなけ

    抗がん剤を否定する自称医師のツイートへの注意喚起 - NATROMのブログ
  • 「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ

    がんに関する不正確な情報の一つに「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」「がん死亡数は欧米では減っているが日だけ増加し続けている」というものがある。「抗がん剤は害しかない」「がん検診は無駄だ」「残留農薬や添加物が多い事が原因だ」とかいったニセ医学的な主張と同時に言われていることもしばしばだ*1。 日のがん死亡数増加の主因は高齢化である。他の要因が変わらなくても高齢者の人口が増えれば、がんで死亡する人の数は増える。生活習慣や公衆衛生、医療環境が改善され、他の病気でなかなか死ななくなる一方で少子化が進み、人口全体が高齢化すると、相対的にがんの死亡数や粗死亡率*2は増える。 一方、高齢化の影響を補正した年齢調整死亡率は、他の先進国と同じく、日でも減少している。ただ、「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」というデマに対抗して高齢化の影響を持ちだすと、「他の先進国で

    「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ
  • 過剰診断と過剰検査の違いも認識しよう - NATROMのブログ

    ■「過剰診断」の定義の違いを認識しようにおいて、内分泌外会誌に掲載された■『過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用法:病理医と疫学者の見解の差異』という文献(以下「文献」)を紹介しました。「過剰診断」という用語には複数の定義があり、がん検診の文脈で国際的にも広く採用されている「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」という疫学的な定義のほかに、「顕微鏡所見により、来よりも重篤な病態であると誤った判断」という病理的な誤診という意味で使われることがあると指摘されています。これは重要な指摘です。過剰診断の定義のい違いは混乱の一因になっていますので文献は一読の価値があります。ただ、文献では「過剰検査」という用語や、過剰診断と過剰検査の違いについて深く考慮されておらず

    過剰診断と過剰検査の違いも認識しよう - NATROMのブログ
  • 鈴木眞一医師が「過剰診断はない」と言ったとき「病理学的な誤診はない」という意味であるとするのが妥当 - NATROMのブログ

    KDN氏が私のツイートを「引用」して何かを主張しているが、私のツイートはKDN氏の主張を肯定するものではないばかりか、積極的に否定するものであることを明言しておく。 「おっしゃる通りで「病理像と転移の有無から過剰診断である蓋然性が高いか低いかは」もちろん判断できます。その点については私は否定していません。」https://t.co/ueguQ6InPZ— KDN (@KDNuc) April 18, 2022 議論の流れとしては、福島県医大の鈴木眞一氏が「福島での手術例に関して,過剰診断を裏付けるような術後病理結果は出ていない」などと述べたとき、その過剰診断が、がん検診の文脈で広く使用されている疫学的な意味での過剰診断なのか、それとも誤って重篤な疾患と診断する病理学的な誤診を意味するのかが論点である。 「過剰診断を裏付けるような術後病理結果は出ていない」という点から、このセンテンスにおいて

    鈴木眞一医師が「過剰診断はない」と言ったとき「病理学的な誤診はない」という意味であるとするのが妥当 - NATROMのブログ
  • 「過剰診断」の定義の違いを認識しよう - NATROMのブログ

    同じ用語が分野によって異なる意味で使われることがあります。たとえば「過剰診断」という用語がそうです。■「過剰診断」とは何かという記事で、過剰診断を「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」という定義を私は採用しましたが、注釈で『軽症である疾患を誤って重症であると診断することを「過剰診断」と呼ぶこともある』と述べました。どちらの定義が正しいとか間違っているとかではありませんが、定義が混同されると理解の妨げになります。 「過剰診断」という言葉の意味が複数あることが誤解の原因の一つでしたが、最近、こうした誤解を解消するために役に立つであろう文献が発表されました。ネット上で全文が読めます。 ■過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用法:病理医と疫学者の見解の差異 詳細はリンク先

    「過剰診断」の定義の違いを認識しよう - NATROMのブログ
  • 解説:台湾女性における低線量CTによる肺がん検診と肺がんの過剰診断 - NATROMのブログ

    高リスク者(現喫煙者・過去喫煙者)を対象とした低線量CTによる肺がん検診が、肺がん死亡率を下げるという複数のランダム化比較試験があります。高リスク者に限り、低線量CT肺がん検診が推奨されている国もあります。では低リスク者(非喫煙者)には?私の知る限りでは低リスク者に対し低線量CTによる肺がん検診を公的に推奨している国はありません。ただ、推奨されていなくてもやろうと思えばできます。なんなら日でも自費でなら受けられますし、補助金を出している自治体すらあります。 台湾でも、低線量CT肺がん検診を比較的低価格(150~230ドル)で受けられ、特定のグループ(教師や消防士など)には無料のサービスとして提供されているそうです。台湾女性の約95%は喫煙習慣がなく肺がん低リスク者です。そのような人たちが低線量CT肺がん検診を受けた結果、肺がんの発生率や死亡率がどうなったのか、最近の研究をご紹介します。台

    解説:台湾女性における低線量CTによる肺がん検診と肺がんの過剰診断 - NATROMのブログ
  • TMHKさんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ

    Twitterにおいて、TMHKさんと議論になりました。お返事が長くなり、またTwitterの仕様上、やり取りがわかりにくくなりますので、詳細にはついてここでお答えいたします。まずは、TMHKさんと名取宏(NATROM)の会話をTogetterでまとめました。漏れがないようにはしていますが、もし、漏れがありましたらご指摘ください。 ■TMHKさんと名取宏の対話。主に過剰診断について。 - Togetter 以下、斜体はTMHKさんのご発言からの引用です。TMHKさんは以下に示すように独自用語を使い、また、しばしば何を言っているのかわからず、建設的な議論が難しいため、今後、逐一のお返事はしないかもしれません。ご質問や異論がある方は、コメント欄に書き込んでくださってかまいません。他の方々にも参考になるように、重要な部分は強調いたしました。 >知見が不十分な状況下では過剰治療が存在する。その場合

    TMHKさんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ
    mujisoshina
    mujisoshina 2022/02/15
    過剰診断に偏見と先入観があり、最後の51連ツイはかなり頭に血が昇っているように見える。一旦時間を置いて頭を冷やし、先入観を排して読み直してみて欲しい。/ これへの反応 https://twitter.com/tmhk0/status/1493234163461533701
  • 食塩さんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ

    Twitterにおいて、塩(tableSalt0117)さんと議論になりました。お返事が長くなり、またTwitterの仕様上、やり取りがわかりにくくなりますので、詳細にはついてここでお答えいたします。まずは、塩さんと名取宏(NATROM)の会話をTogetterでまとめました。漏れがないようにはしていますが、もし、漏れがありましたらご指摘ください。 ■塩さんと名取宏の対話。主に過剰診断について。 - Togetter 以下、斜体は塩さんのご発言からの引用です。塩さんは、ここのコメント欄でもTwitterでも、どちらでお返事をなさってもかまいません。また、塩さん以外の方でも、ご質問がある方は、コメント欄に書き込んでくださってかまいません(できればコメント欄のほうがありがたいです)。他の方々にも参考になるように、重要な部分は強調いたしました。 >「エビデンスはある」とおっしゃるんで

    食塩さんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ
    mujisoshina
    mujisoshina 2022/02/14
    この人もその前のTMHKという人も、Twitter上であまり筋の良くない過剰診断論者を見て"過剰診断=政府や東電擁護者の詭弁"みたいな先入観と偏見から入ってしまっている様な気がする。詭弁だからと甘く見ていっちょかみで。
  • 患者家族とのトラブル - NATROMのブログ

    埼玉県ふじみ野市において、訪問診療をしていた医師が患者の息子に散弾銃で撃たれ死亡するという事件が起きた。患者である母親が亡くなったことがきっかけになったという。事件については報道でしか存じ上げないし、これから新事実が出てくるかもしれない。この記事は、医療職と患者家族の関係の難しさの一端について知ってもらうのが目的であって、個別の事件において真相はこうだったのかもしれないといった推測ではない。 また、以下に述べる事例は、私の見聞きした経験をもとに改変したものであり、事実そのままではない。仮に当事者が目にしたとしてそれが自分たちのことであるとはわからないようにまで変えてある。ただし、問題の質については伝わるはずだ。ご理解をいただきたい。 患者さんがよいケアを受け、病状が改善することをご家族が願うのは当然だ。ただ、その願いがきわめて強い患者家族がいらっしゃる。介護のためにご家族が仕事を辞め、ず

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  • 「万能薬」ができるわけ - NATROMのブログ

    ニセ医学の多くは効果が特定の疾患に限定されず、きわめて多様な疾患に効くと吹聴されている。例を挙げれば、血液クレンジングは慢性疲労・肩こり・冷え性、頭痛、不妊症、更年期障害、高脂血症、高血圧、花粉症、アトピー性皮膚炎、認知症・脳血管障害の予防、美肌効果、気管支喘息、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞の予防、がん、悪性リンパ腫、白血病、インフルエンザ、肝炎、HIVに適応があると称されている*1。まさしく「万能薬」と言っていい。 「こすぎレディースクリニック」のウェブサイトにあるオゾン療法(血液クレンジング)の適応(一部)。「stage IVの非小細胞肺がんに効果がある」などと適応を絞ったニセ医学はあまりない。万能を謳う理由の一つは潜在的な顧客(カモ)の数であろう。商売をするなら顧客が多いほうがいいので、がんにもアトピーにもアンチエイジングにも効くと称しておくほうが都合がいい。 ニセ医学の適応が広い理由

    「万能薬」ができるわけ - NATROMのブログ
  • 過剰診断が多いほど検診から恩恵を受けたと感じる人が多くなる「ポピュラリティパラドクス」 - NATROMのブログ

    乳がん検診はがん死を減らすが過剰診断も生じる マンモグラフィーによる乳がん検診は乳がん死を減らす一方で過剰診断も生じる。つまり検診がなければ生涯無症状で乳がんと診断されなかったはずの人も乳がんだと診断してしまう。乳がん検診は複数のランダム化比較試験が行われており、過剰診断の割合はおおむねわかっている。以前、ある研究に基づいた『■検診で乳がんが発見された人が100人いたとして』という記事において、検診で乳がんと診断された人のうち過剰診断は約29%だという数字を紹介した。検診のおかげで乳がん死を免れる人は約3%、検診で乳がんが発見されても乳がんで亡くなる人も約3%、残りの約65%は検診を受けなくてもいずれ症状が出て乳がんと診断されるが、診断されてから治療しても乳がん死しない人である*1。 この記事の感想に「私は運よく検診で乳がん死を免れた3%であったのだろう」というものがあった。この感想を述べ

    過剰診断が多いほど検診から恩恵を受けたと感じる人が多くなる「ポピュラリティパラドクス」 - NATROMのブログ
  • 裁判事例から学ぶ健康情報の読み方 - NATROMのブログ

    はじめに サプリメントや健康品を摂取している患者さんはたくさんいらっしゃいます。サプリメントや健康品は肝障害などの副作用がまれながら生じることもある上に、多くは効果があるかどうかわかっていませんので、臨床医としてはあまりお勧めできません。一方で、安心感が得られるといったメリットもありますので、臨床の現場ではあまりに高価でないものは消極的に容認されているといったところです。 サプリメント・健康品は医薬品ではありませんので、効果効能を謳って販売することは法律に触れます。しかし、あからさまに効果効能を謳うことなく、しかしあたかも効果効能があるかのように消費者に誤認させる宣伝方法がしばしば使われています。そうした宣伝に対して、専門家が「科学的に効能が実証されたとは言えない」とメディアで注意を促すことは有用だと私は考えます。 ところが、ある企業が販売している飲料水(仮に「A飲料水」としましょう

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  • 新型コロナに対するイベルメクチンのケースシリーズを発表してほしい - NATROMのブログ

    イベルメクチンに対する「熱狂」 一部の界隈で新型コロナウイルス感染症に対する抗寄生虫薬「イベルメクチン」への期待が高まっている。熱狂的であるとすら言える。「海外ではイベルメクチンが大きな成果を上げているのに日で使用が制限されているのはけしからん」といった具合だ。反ワクチンや陰謀論(「安価なイベルメクチンで新型コロナが予防・治療できるとワクチンをはじめとした高価な薬が売れないので巨大な利権が妨害しているんだよ!!」)とつながっていることもあり危惧を覚える。 現時点ではイベルメクチンが新型コロナに効くことを示す良質な証拠はない。日だけではなく、海外でも主な公的機関は臨床試験以外でのイベルメクチンの使用を推奨していないが、ごく当然のことである。「ワクチンは受け入れられたのに実績のあるイベルメクチンが受け入れらないのは不公平」という類の反論もあるが、イベルメクチンの偉大な実績は寄生虫疾患に対す

    新型コロナに対するイベルメクチンのケースシリーズを発表してほしい - NATROMのブログ
    mujisoshina
    mujisoshina 2021/08/28
    今出ている結果に対して期待が異常に大きすぎる。溺れる者は藁をも掴むというが、アビガンとかイベルメクチンとか、選り好みして日本製の藁を掴みたがっている様に見える。
  • イソジンうがいで新型コロナの重症化予防という話はどうなったか追いかけてみた - NATROMのブログ

    2020年8月の会見「うそみたいな当の話」 新型コロナウイルス感染症の第四波の真っ最中で、とくに大阪府は厳しい状況だ。大阪と言えば、昨年2020年8月に大阪府吉村洋文知事が会見で「うそみたいな当の話をさせていただきたい。ポビドンヨードを使ったうがい薬、目の前に複数種類ありますが、このうがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減っていく」と述べた。また、接待を伴う飲店の従業員や医療介護者・介護従事者などに「ポビドンヨードうがい薬によるうがいを励行」を勧めた*1。ポビドンヨードを使ったうがい薬の代表的な商品がイソジンうがい薬である。会見はテレビで放送され、うがい薬の売り切れが続出したという。 ポビドンヨードに新型コロナウイルスを不活化する作用があるのは事実だ。ただ、それは試験管内、実験室内の話で、実地臨床の場において感染予防効果や重症化予防効果があるかどうかは別問題である。

    イソジンうがいで新型コロナの重症化予防という話はどうなったか追いかけてみた - NATROMのブログ