北京のみなさん、はじめまして。この度、『中国化する日本』を翻訳していただいた、著者の與那覇潤です。この本はもともと、もっぱら日本の読者を想定して書かれた日本史の本でしたので、今日は初めて中国でお話しすることに、多少緊張しております。 私の使う「中国化」という言葉は、「西洋化」と対になる概念と理解していただければと思います。すなわち歴史の推移にともなって、「ヨーロッパに似た社会になってゆくこと」を西洋化と呼ぶように、「中国に似た社会になってゆくこと」を中国化と呼ぶこともできるのではないか。そう提案することで、実は日本の歴史の展開はこれまでよりもよく分かるようになるのだということを、私はその本で、日本の読者に伝えようとしました。 われわれ日本人は19世紀以降の自国のあゆみを、「西洋化」として理解することに慣れています。そしてそこには常に、アジアのなかで「西洋化」を達成できたのは日本だけだという
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