どうもここ数年、途方もなく忙しい。人間のことならどんなことでも、認知科学的な視点で研究できると考えているから、「忙しさ」というのもなんらかの考察を加えることはできるのではないかと思っていた。 まず、どういう視点で考えるかということから既に問題だけれど、少なくとも二つの要素がある。一つは、「主観的忙しさ」とcognitive loadという観点で、複数の課題を並列に与えられると、課題をひとつずつこなしているときよりも忙しいと感じてしまうようだ。このいかにも普通な認知神経科学的な見方では、タスクスイッチングや複数の長期的な課題を脳内に保持しておくという、「忙しさ」を感じるメカニズム的なことの研究に進みそうだ。これは、それほど面白くないありきたりな研究だろう。それから、なぜネットによって人が忙しくなったのか(これが実際にそうであるという前提のもとに)という疑問に対する答えは、ここからは出てこない
世界最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、Facebookが日本(語圏)に進出してから二年がたった。よく知られているように、Facebookは実名での登録を前提としていることが特徴であり、「米国で人気の実名SNSが日本社会において受け入れられるか」と話題になった。日本で最も利用されているSNS・ミクシィも、かつては実名での登録を推奨していたが、個人情報や個人的な写真が流出するという騒ぎを経て、実名で利用されることはあまりない。日本語版開始から二年たったいま、日本在住のFacebookユーザ数も二〇〇九年だけで約三倍に増えたものの、国別ランキングでは上位三十位にすら遠く及ばず、米国の1%前後に留まっている。 Facebookが日本で広まらないのは、当初から言われていたように、実名登録制が日本のネット文化に合わないからである、という説明がよく聞かれる。なるほど、匿名を前提とする2
ツイッター(Twitter)が話題になっているというか、世間的な話題についてはいろいろ言われているので、僕なんかが言うことはさしてないと思う。「Twitter社会論(津田大介)」(参照)のように簡素に読めて良書もある。とはいえ、自分なりにツイッターを使ってみて思うこともあるので、少し。 ツイッターはもともとは、メッセンジャーの拡大くらいのノリだったんだろう。もうけっこうな昔になってしまうけど、ニフティサーブというパソコン通信で、ログインしてうろうろしていると、「今、メメメでチャット中。来ない?」みたいなメッセージがプロンプトに送られてくることがあった。ああいうメッセージングの仕組みだ。確かWindowsのプロンプトでもできたと思うけど、すっかり忘れた。Google Talkというのもあったな。まあ、メッセージ交換の通信サービスということだ。 それで、この「そっちどう?」というふうに状況が問
「ツイッターノミクス(タラ・ハント著、村井章子訳、津田大介解説)」(参照)は、日本の各種の分野でツイッター(Twitter)が話題になる現在、適時な刊行であったと思う。特に、企業が広告戦略においてどのようにツイッターをクチコミとして活用したらよいのかという点で、本書は著者の経験やこの分野の各種の世論を整理して提供していることから、実践的かつ具体的な指針になるだろう。 マーケティング部門はもとより、ツイッターが開きつつある新しいマーケットを理解するために、年配の経営者にも一読を勧めたい。本書を一読しておけば、ツイッターによるマーケティングのごく基本的な失敗事例など(参照)は防げる。 とはいえ、本書はやさしい口調で理路整然と説かれ、日米間の商慣例の差はあるとしても、概ね正しい内容でありながら、実際にこのツイッターの世界に入って、ツイッターとはなにか実感するという体験の側から見ると、また異質なも
インターネット上の百科事典「ウィキペディア」の日本語版が転換期を迎えている。誰もが自由に投稿できる米国発祥の思想から、飛躍的にページ数や閲覧数を増やしてきた。今は量的成長が一段落し、管理者不足やいたずらの増加など「質的」な向上の壁に直面している。 ■削除するべき書き込みが1割 東京・秋葉原に実在するメードカフェ名のページ――「宣伝」として削除。 実在の女性のプロフィルを勝手に掲載したページ――「いたずら」として削除。 関東地方の40代男性が最近、「削除」したウィキペディアのページだ。投稿など編集作業は誰でもできる一方で、ページの「削除」や編集を止める「保護」など特別な権限を持つ管理者がいる。男性は「海獺(らっこ)」というアカウント名で活動する、日本語版に63人いる管理者の一人だ。 管理者はネットでの信任投票で選ばれる。職業はIT関連など様々で、実は大半はお互いに素顔を知らない関係だ
ネットの動画配信については、もういろんなところが調査発表していて、動態もある程度理解が進んで、携帯向け動画配信も市場性がどこまでなのか、何となく分かってきたところではあるけど。 先週、在京ネット局さんの研修会でお話をしてきたわけですが、既存の放送業界のネット利用の伸びのほうが、ustreamのような「野良配信」よりも一般客は掴んでおり、そこの心配はあまり要らないと思います。 むしろ、ニコニコ動画やyoutube、ustream、GyaOと、日本国内では顧客プールをきちんと持っているサービスが次々と立ち上がりつつも、純粋に動画配信のサービスだけ切り離してみると採算面で苦労しており(GyaOが単月黒字化したとか報じられていたけど、信じてる人はどれだけいるのかな)、ネットにたくさん時間を使うユーザーが動画配信の市場に張り付いて先鋭化し、通常の映像を楽しむ客層から離脱して別の山を作り始めているとい
寝坊した。産経新聞一面の梅田さんのコラムが興味深いものだった。思索を深化させていくと逆に読む人が限定されていく。その限定を緩和させると、単純化・図式化が進む。しかたがないとは言える。ネットに掲載されているかと見るとあった(参照)。この問題視点は難しい。 これからのウェブ世界は、こうした欧米の価値観やイデオロギーに強く牽引(けんいん)された「共有地たるグローバルウェブ」(主に英語圏)と、「政治体制や文化・言語圏に閉ざされたローカルウェブ」がせめぎあい、分断されて林立する時代を迎えるのであろう。グーグル中国問題は、そんな21世紀のウェブ進化のひとつの方向性を示唆するものである。 私の考えでは、Google+英語がもたらすインパクトは、文化圏や政治体制のクローズにおけるダイコトミーとは完全に重ならない。私の思索のキーワード「滑らかな浸潤」をふと想起するが、そこまではわからない。ただ、Google
昨年夏に行われたイラン大統領選後の暴動は、世界初の「ツイッター革命」といわれた。だとしたら、1月12日にハイチを襲った大地震は世界初の「ツイッター災害」だ。 2004年のインド洋大津波や翌年のハリケーン・カトリーナ以降、メディアの環境は激変したが、ハイチ大地震ではそれが顕著に表れている。ハイチの最新ニュースを読み、共感を示し、援助の方法を調べるために、世界中のツイッターユーザーがサイトにアクセス。ハイチは瞬く間に、ツイッターの「人気のトピック」に躍り出た。 この波に乗ろうと、ニューヨーク・タイムズやCNNなどの既存大手メディアも、ニュースをリストアップするツイッター内の機能を利用し、現地からのアップデート情報を集めたコーナーを設けている。ツイッター熱は、地震発生からしばらくしても衰えなかった。地震から1週間以上経った1月20日には、首都ポルトープランスでの余震をめぐってアクセスが集中し、サ
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 映画「An Officer and a Gentleman」の邦題は、ご存じですよね。 140文字のエントリーが飛び交うTwitterへの注目が、日に日に増しています。とりわけ最近、ネット上の話題を超えて、伝統的なメディア、テレビの情報番組や、ラジオ、新聞、雑誌などで、Twitter(ツイッター)ブームを紹介していたり、具体的な操作方法を視聴者や読者に解説していたりするのを、よく見かけます。 しかし、情報番組の司会者や、アナウンサー、コメンテータ-、といった人たちの殆どが、自分個人ではTwitterをやっておらず、「いつのまにか、こんなに世間では、つぶやくことがブームになっていたんですねぇ」といった調子で、「また、インターネットの中で始まった
Googleソーシャル検索、Twitterフォロー相手のコンテンツ表示開始、言及したリンク先ページの分析も 米Googleが提供するソーシャル検索サービスにおいて、Twitterでフォローしているユーザが作成したコンテンツが表示されるようになった。 Google Social Searchは、ユーザのソーシャルグラフ(人間関係)を参照して、検索結果をカスタマイズするサービス。Gmailのコンタクトリスト上のユーザやRSSフィードの購読先サイトのユーザなど、友人や面識のあるユーザが作成したコンテンツを検索結果に表示する。2009年10月末から実験的機能として公開されており、Google Experimental searchからSocial Searchを有効にして、Googleアカウントにサインインすることで利用できる。 リリース時点でGoogleが参照するソーシャルグラフは、Gmailコ
The Twitter Flatline: Why Doesn't Twitter Grow? [STATS] Twitter's growth has stalled for yet another month, according to new numbers from Compete and Quantcast. In fact, Twitter.com's traffic peaked in July 2009 and hasn't reached that level since. According to web analytics firm Compete, Twitter's U.S. traffic grew by 1.45 percent, from 22.48 million in November to 22.81 million unique visitors i
http://news.goo.ne.jp/article/php/life/php-20090919-02.html この記事を見て思い出したので、『白いクスリ』について整理しつつ考えてみたい。 私の考えは、削除に反対である。「『白いクスリ』は容認して、利用規約を改訂し、関係者すべてが意識を改めるべし」が結論になる。 私は法律の専門知識がないので、述べるのは理想論だけだ。その実現性や現行法との兼ね合いは考慮していない。 (1) 初音ミクの歌唱を個人の誹謗中傷に使って良いか。 良くない。だがクリプトンやヤマハはその使途について口出しできない。責任はすべて作者に帰すべきである。 (2) 『白いクスリ』は個人の誹謗中傷か。 字義どおりにとれば誹謗中傷にあたる。だが本件はそれ自体で独立した事件ではない。背景に麻薬事件があり、裏切られたファンの憂さ晴らしともとれる。「のりピーにはがっかりだよな。み
2009年09月02日14:00 カテゴリCultureCode #twitter - は世界への窓じゃなくて、「社会の窓」 そう誤解する人も少なくないので注意喚起。 ASCII.jp:Twitterは日本の匿名ウェブを変えるか|池田信夫の「サイバーリバタリアン」 不特定多数が短いメッセージを送るので、2ちゃんねるみたいな感じになるかと思えば、意外に紳士的だ。1週間ほど見た感じでは、mixiのように閉じたSNSに比べれば悪口は多いが「はてなブックマーク」ほどではない。 Twitterは紳士的なのではない。 紳士的にしか見えないようになっているだけなのだ。 Twitterから見える世界を、Timeline (以下TL)と呼ぶ。TLは自分の発言と、自分がfollowした人の発言とからなる。Webブラウザーから見ても、専用クライアントから見てもこの点は同じである。別のいい方をすると、一 twee
英語版Wikipediaは存命の人物関連記事への変更を全て承認制にするという方針に近々切り替えるとのこと(マイコミジャーナル、本家/.記事) 存命の人物に関する記事は特に悪意ある編集の標的になりやすく、個人に深刻な被害を与える可能性が高くなっている。このため記事への変更はベテランWikipedia編集者の承認の受けないと公開されなくなる「flagged revisions」機能が導入されることとなったという。この機能はすでに昨年ドイツ語版のWikipediaにて導入済みだそうだ。 NY Timesの記事によると今回の方針はWikipediaがその影響力の大きさを自覚したことの表れであり、混とんを容認するカルチャーから脱し、より成熟して信頼にたるものに変貌する意志の表れでもあるとのこと。既にここ数年Wikipediaでは匿名ユーザーによる新規記事作成は認められておらず、また人気記事や激しい議
もじら組のメーリングリストに投稿されたメール ([moz-users:07993], ユーザ名:mozilla, パスワード:mozilla) によると、スタッフメーリングリストで行われたもじら組解散の投票の結果、賛成 6、反対 6 で提案が否決された。 「閉塞感を感じていたスタッフの一部(今回のメンバー)は、もじら組というあいまいな集団を一旦解散した上で、各種プロジェクトを独立させて身軽にし、それぞれのプロジェクトがより効率よく活動できる形への再編を提案し」たとのこと。賛成派は全員もじら組を卒業し「Mozilla コミュニティーネットワーク」の立ち上げに携わるらしい ([moz-users:07995], [moz-users:07996])。[moz-users:07993] では「(もじら組に残留する人々でもじら組を) 運営できそうもなければ、もじら組は消滅することになるでしょう。」
電通パブリックリレーションズ、ガーラバズ、TMI総合法律事務所、AIG コーポレート・ソリューションズは8月20日、「ネット風評被害バスターズ」として4社で連携し、インターネット上の風評被害の把握から対応策のコンサルティング、対応実施、信頼回復までを一貫してサポートするサービスの提供を開始した。 現在、企業が起こした事故・不祥事は、掲示板、ブログやSNSなどのソーシャル・メディアで話題となる傾向にあり、誹謗・中傷にまで発展するケースもある。逆に、Web上に書き込まれた一情報がテレビや新聞などのマスメディアに取り上げられて、企業の評判を毀損するケースも発生している。 企業がこうした被害に遭うのを防いだり、インターネット上の誹謗・中傷に対応したりするのをサポートすべく、ネットリスクモニタリングを行うガーラバズ、イシュー・リスクへの広報コンサルティングを行う電通PR、違法性の判断など法務コンサル
Wikipedia の変遷に関する研究が英Guardianにて紹介されている (本家 /. 記事より) 。 Wikipedia は 2001 年 1 月に立ち上げられ、2006 年には 100 万記事を突破、そのすぐ 1 年後には 200 万記事を突破したとのこと。特に 2004 年ころから 2007 年にかけては爆発的な成長を見せたという。パロアルト研究所の Ed H Chi 氏率いる研究チームによると、今でも日々情報量は増え続けているが 2007 年には 1 日平均で 2,200 件あった新規記事が今日では 1,300 件に減っているとのこと。しかし新規記事の数は減ってもアクティブな編集者の数はほぼ横ばいできているそうだ。 しかし、研究チームによると Wikipedia が運営される形はその黎明期から大きく変化しているとのこと。黎明期には時間と労力がある人なら誰でもプロジェクトに貢献で
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