夏はだいきらいだけど、夏の野菜は、だいすき。 トマト、きゅうり、茄子、いんげん、おくら、ズッキーニ、ゴーヤ。うち栄養ありまっせ! な色あいを見ていると、しずんだ気持ちがあかるくなる。 だいすきな夏野菜を、近所の直売所で安く手に入れられるのは、ひかえめにいってかなり幸運だと思う。 直売所に並ぶ野菜は、みんなとれたて。それだけでもうれしいのに、農家のおじさんに「おくら、あります?」と聞けば、裏の畑でもいでくれる。「これ、曲がってるけど」と、たまにおまけもくれる。直売所で野菜を買うのに慣れると、スーパーではちょっと買えなくなってしまう。 新鮮な野菜をどっさり買うと、仕事でつらいようなことがあっても、ひとときあかるい気持ちにみたされる。野菜そのもの、というより、自分にとって正しいことをしている感じ、がうれしいんだと思う。 そういえば、若いころは野菜がだいきらいだった。肉がいちばんえらい、野菜は格下