ツノのような2本の触角を突き出し、牛のようにのっそりと海底を移動する動物、ウミウシが近ごろちょっとしたブームだという。種ごとに異なるユニークな形状とカラフルな色彩で、ダイバーたちに人気があり、最近では写真集や図鑑も発刊され、「海の宝石」なんて呼ばれることもあるみたい…と、ここで素朴な疑問。ウミウシって、どんな生き物なの? 「ウミウシは軟体動物。優に1000を超える種が、浅い砂地や岩礁から暗い深海底まで、世界各地の海に生息しています。『腹足綱』(巻貝綱)に属していますが、その多くは進化の過程で貝殻を体内に埋没させたり、脱ぎ捨ててきました。イメージとしては同じく陸にすむ巻貝類、中でも殻をなくす方向に進化したカタツムリ、つまりナメクジに近いかもしれません」(『ウミウシ学』著者・千葉大学理学部・平野義明准教授) ナメクジか。それにしては色がとてもカラフルなのはなぜ? 「理由は、2つあると考え