【北京・工藤哲】丹羽宇一郎駐中国大使の公用車が襲撃され国旗が奪われた事件で、中国公安当局が男3人、女1人の中国人計4人を容疑者として取り調べていることが8月31日、関係者の話で分かった。捜査中の事件を外国外交官に説明するのは異例で、尖閣諸島を巡って波立つ日中関係が、この事件でさらに複雑化する事態を懸念していることは間違いない。 中国政府は30日夜、捜査状況を日本側に伝えると同時に中国外交を統括する戴秉国国務委員が山口壮副外相に3時間近くにわたって対応するなど、日本側への配慮を示している。一連の対応は、事件の余波の長期化を望まない中国指導部の意向の表れと言えそうだ。 また、山口副外相と会談した戴氏は、楊潔篪外相より格上で、胡錦濤国家主席の信頼も厚い。野田佳彦首相の親書を送り返した韓国の対応とは異なり、中国としては親書を真摯(しんし)に受け止めることで、日本との関係改善の糸口にしようとしたと言