2016年の大ヒット新海真監督映画「君の名は。」の作中に登場する「口噛み酒(口噛みの酒)」は、お酒ファンはもとより、そうでない人にとっても気になる重要なファクターとなっています。先祖代々巫女の家系である主人公・宮水三葉が神への捧げものとして造るのですが、それはいったい何なのか?お答えしましょう。 口噛み酒って実在するの?どんな作り方? 宮水三葉が造る「口噛み酒」を知るには、日本酒の歴史を知る必要があります。古代の文献「大隅国風土記」(713年以降)の中に、大隅国(現在の鹿児島県東部)では、村中の男女が水と生米を噛んでは吐き出し容器に入れ、一晩以上置いて酒にしていたと記されています。これを当時から「口噛み酒」と呼んでいました。 ご飯をずっと噛んでいるとだんだんと甘くなることは経験したことも多いはず。これは、唾液中のデンプン分解酵素であるアミラーゼやジアスターゼが、米のでんぷんを糖化するから。