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ブックマーク / realsound.jp (41)

  • 桂正和「人間のかわいさを超える絵を」 『ウイングマン』『電影少女』から『I"s』まで、読者を魅了する作画への思いを聞く

    桂正和「人間のかわいさを超える絵を」 『ウイングマン』『電影少女』から『I"s』まで、読者を魅了する作画への思いを聞く 1980~90年代の「週刊少年ジャンプ」を代表する漫画家の一人であり、『ウイングマン』などのヒーローものから『電影少女』『I”s』などのラブコメ・恋愛ものまで、幅広い作風で読者を魅了し続けてきた桂正和氏。昨今は『ウイングマン』のテレビドラマ化はもちろんだが、桂氏自身のXでの積極的な情報発信も人気を集めている。 今回、リアルサウンドブックでは、デビュー以来常に漫画界に話題を提供し続けている桂氏にインタビュー。漫画を描くようになった原点から、ヒーローから美少女まで多彩かつ美麗な絵を生み出す手法まで、ロングインタビューで明らかにした。(山内貴範) はじめは暗い話や切ない話が好きだった ――桂正和先生はコンポがほしくて、賞金目当てに漫画を描き始めたそうですね。10代のころに影響を

    桂正和「人間のかわいさを超える絵を」 『ウイングマン』『電影少女』から『I"s』まで、読者を魅了する作画への思いを聞く
  • 田中敦子、『攻殻機動隊』の歩みを振り返る 「いつでも皆さんのそばにいます」

    映画攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』の初日舞台挨拶が新宿ピカデリーにて11月23日に開催され、声優を務めた田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、潘めぐみが登壇した。 『攻殻機動隊』シリーズは、1989年に士郎正宗が『ヤングマガジン増刊 海賊版』(講談社)にて原作コミックを発表して以来、押井守監督による『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』をはじめ、さまざまなシリーズが制作されてきた。その最新作となる『攻殻機動隊SAC_2045』は、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズを手がけた神山健治と、『APPLESEED』シリーズを手がけた荒牧伸志によるダブル監督体制。これまでの『攻殻機動隊』のアニメーションを制作してきたProduction I.Gと、SOLA DIGITAL ARTSの共同制作によるアニメーションシリーズだ。シーズン1は2020年4月より、シーズン2は2022

    田中敦子、『攻殻機動隊』の歩みを振り返る 「いつでも皆さんのそばにいます」
  • 話が飛ぶ人は体内に複数の時間が流れているーーADHD当事者の作家が描くエッセイ『あらゆることは今起こる』

    小学校1年生のときの教室。クラスメイトたちの当たり前を、自分だけがさっぱり理解できず、それを周囲には悟られないように平静を装いながら、内心はげしく動揺している。もしかしたら自分は気づかないうちに、どこかに存在する「並行世界」に迷い込んだのかもしれない。そう思うと、次第に怖くなってくる。 小説家・柴崎友香の『あらゆることは今起こる』は、そんな「小説の始まり」のようなエピソードから始まる。でも、これは「小説」ではない。2021年9月にADHD(「注意欠如多動症」)の診断を受けたという柴崎が書き下ろした、発達障害をめぐるエッセイだ。医学書院の「ケアをひらく」シリーズに収められているのだが、そのコンセプトにたがわず、ひじょうに平易な言葉遣いで、発達障害の特性を知ることができる。著者自身が発達障害についての考えを深める過程と並行して書かれていて、ADHDという言葉を耳にしたことはあっても、充分に考え

    話が飛ぶ人は体内に複数の時間が流れているーーADHD当事者の作家が描くエッセイ『あらゆることは今起こる』
  • 『君たちはどう生きるか』を徹底考察 われわれ観客に対する宮﨑駿監督の“問いかけ”

    のアニメ界、映画界を長年にわたって代表し、イマジネーションに溢れた作品が世界から注目を浴びてきた宮﨑駿監督(先頃宮崎から宮﨑に改名した)。その引退作と見られていた『風立ちぬ』(2013年)から、短編作品『毛虫のボロ』(2018年)を経て、10年ぶりの長編作品として完成、公開された最新作が『君たちはどう生きるか』だ。 その圧倒的知名度を基に、メディアでの宣伝をおこなわないという奇策が、逆にミステリアスな印象を与え、その内容にさらなる興味を与えていた作『君たちはどう生きるか』の正体は、多くの観客に待ち望まれていた冒険ファンタジーだった。そこには、宮﨑監督がかねてよりその価値を主張していた「血湧き肉踊る漫画映画」としての娯楽性がつまっている。 一方で、黒澤明監督の『夢』(1990年)のように奇妙なイメージや謎に包まれた感覚的表現も数多く見られ、観客の反応のなかには「難解だった」という声も少

    『君たちはどう生きるか』を徹底考察 われわれ観客に対する宮﨑駿監督の“問いかけ”
  • CAPSULE 中田ヤスタカを紐解く“7つの質問” DTM先駆者が振り返る、特異な制作スタイルが常識になるまで

    中田ヤスタカとこしじまとしこによる2人組ユニット、CAPSULE(カプセル)が6年ぶりに新曲「ひかりのディスコ」をリリースした。今年、結成20周年を迎えたCAPSULEは、パソコンとDAWソフトウェア完結による音楽制作の手法を世に広く一般化させたユニットだ。コンピュータミュージックの未来像をビジョンとし、トラックメイカー文化を広めたオリジネーターである。 そんなCAPSULEがヒストリーを重ねたことで生まれたアイデアが、自分たちのサウンドの過去と未来を融合すること。新曲「ひかりのディスコ」のリフには、10年前のナンバー「WORLD OF FANTASY」のフレーズがサンプリング感覚でフックアップされている。 MVでは、こしじまとしこが80年代に一世を風靡したHondaプレリュードを運転。カセットテープのインサートシーンや、腕にはCASIOデータバンク、足元にはオニツカタイガーが見える。しか

    CAPSULE 中田ヤスタカを紐解く“7つの質問” DTM先駆者が振り返る、特異な制作スタイルが常識になるまで
  • 宮台真司の『TENET テネット』評(前編):『メメント』と同じく「存在論的転回」の系譜上にある

    リアルサウンド映画部にて連載中の社会学者・宮台真司による映画批評。今回は10月17日放送のミュージシャン・ダースレイダーとのライブ配信企画「100分de宮台」特別編の一部を対談形式にて掲載する。“時間の逆行”が大きなテーマとなっている現在公開中の映画『TENET テネット』から「記憶と記録の構造」を読み解く。宮台は、その複雑な設定が話題を呼ぶ『TENET テネット』の決定論的構造から生まれる倫理の問題を指摘。クリストファー・ノーラン監督が作に込めたある問い、そして監督独自の作家性が浮かび上がってきた。 クリストファー・ノーラン監督が下した「究極の決断」 ダースレイダー(以下、ダース):今回はクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』(以下、『TENET』)をメインに、「時間」や「記憶と記録の構造」というテーマでお送りします。 宮台真司(以下、宮台):SFに限らず従来の映画の中

    宮台真司の『TENET テネット』評(前編):『メメント』と同じく「存在論的転回」の系譜上にある
  • 宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り

    布団が艶めかしかった昭和と共に失われたもの 布団の話から始めます。昭和には和風ラブホテル──「旅荘」──がありました。門をくぐると仲居(従業員)の女性が出迎えて、部屋へと案内してくれます。部屋番号ならぬ「楓」「椿」などと部屋名が付された扉が開けられると、卓袱台と畳だけが見えます。しばらくお待ち下さい、と中居が一旦引き下がります。 茶と茶菓子を盆に載せた再び中居がやって来ると、「ごゆっくり」と一言残して立ち去ります。何かを仄めかしているように感じてゾクっとした二人は、対面しつつ茶菓子を口に運んでしばし雑談します。それでもお互いにこれから起こる事が分かっているから、どこかしらじらしくてギコチないのでした。 そして、会話がふと途切れた時が「その時」です。相手の手に触れて見つめ合い、手を取り合って立ち上がります。襖(ふすま)を開けると、そこはいきなり非日常の時空。艶めかしい色の行灯に照らされて大き

    宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り
  • Perfumeと星野源、J-POPを開拓する2組に通じる点は? 相思相愛の共演から考える

    Perfumeが「If you wanna」で再びまとった「違和感」 8月7日、Perfumeはラジオ「Perfume LOCKS!」で新曲「If you wanna」を初めてオンエアした。3分にも満たないコンパクトな形にまとめられたこの曲は、Perfumeのシンボルであるデジタルサウンドを基調としながら、そこで鳴らされるリズムは今までの楽曲とは一味違うものになっている。サビに該当するパートではボーカルが著しく後退する構成となっている一方で、楽曲全体を通してボーカルの加工度が下がり3人の生歌をしっかりと体感できる。 Perfume「If you wanna」 新境地とも言うべきこの楽曲に対しては一部ファンから戸惑いの声も上がっていたが、3人もそういった反応はある程度は想定していたようで、ライブでの初披露となった『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』では歌唱前にこの曲の「

    Perfumeと星野源、J-POPを開拓する2組に通じる点は? 相思相愛の共演から考える
    mustelidae
    mustelidae 2017/10/01
    レジ―信頼できる。大阪に行けなかったことを本当に悔しがらせてくれてありがとう。
  • 岩里祐穂 × ヒャダインが明かす、名曲の作詞術「重要なのは“いかに言わずして言うか”ということ」

    作詞家・岩里祐穂によるトークライブ『Ms.リリシスト~トークセッション vol.3』が2017年4月16日に開催された。このイベントは岩里の作家生活35周年記念アルバム『Ms.リリシスト』リリースを機に、あらゆる作詞家をゲストに招き、それぞれの手がけてきた作品にまつわるトークを展開するもの。リアルサウンドでは、そのトークライブの模様を対談形式で掲載している。今回ゲストとして登場したのは、ももいろクローバーZやでんぱ組.incなどのアイドルを中心とした幅広いアーティストの作詞のみならず、作曲、編曲も手がけるヒャダインこと前山田健一。両者が手がけてきた楽曲の制作秘話を紐解くと、物語の描き方や言葉の使い方など、それぞれの特徴が浮かび上がってきた。(編集部) ももいろクローバーZ「ワニとシャンプー」 岩里:私がヒャダインさんのことを初めて知ったのが、ももいろクローバーZのシングル『猛烈宇宙交響曲・

    岩里祐穂 × ヒャダインが明かす、名曲の作詞術「重要なのは“いかに言わずして言うか”ということ」
  • 菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね

    *以下のテキストは、 マスメディアがアカデミー賞レースの報道を一斉に始める前の、2月20日に入稿、更に4日前に書かれたもので、つまり所謂 「あとだしジャンケン」ではない旨、冒頭に強調しておく。 今時これほど手放しで褒められてる映画があるだろうか? 当連載は、英語圏の作品を扱わないので今回は<特別編>となる。筆者は映画評論家として3流だと思うが、作は、複数のメディアから批評の依頼があった。大人気である。「全く褒められませんよ」「こんな映画にヒーヒー言ってるバカにいやがられるだけの原稿しか書けませんけど」と固辞しても、どうしても書けという。 そりゃあそうだ。筆者は一度だけヤフーニュースのトップページに名前が出たことがある。ジャズの名門インパルス!レーベルと、米国人以外で初めて契約したから? 違う。女優の菊地凛子を歌手デビューさせたから? 違う。正解は「『セッション』を自分のブログで酷評したか

    菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね
  • 電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」

    3月1日、電気グルーヴがニューアルバム『TROPICAL LOVE』をリリースする。同作は、4年ぶりのオリジナルアルバムで、ゲストに夏木マリ、KenKen(RIZE、 Dragon Ash,、LIFE IS GROOVE)、トミタ栞らが参加した。 今回の制作にあたり、石野卓球とピエール瀧は3日間の合宿を行い、歌録り以外のほとんどを、Mac音楽制作ソフトGarageBandで作っていったという。そうして完成した『TROPICAL LOVE』は、電気グルーヴの“最高傑作”であると、以下のインタビューの中で石野卓球は語っている。2015年年末から2016年にかけて公開され、ファン以外からも大きな反響のあったドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? 〜石野卓球とピエール瀧〜』を経た、今の電気グルーヴのモードとは。ふたりに話を訊いた。(編集部) 「間違いなく最高傑作だと

    電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」
  • 日本のアニメーションはキャズムを越え始めた 『君の名は。』『この世界の片隅に』から考察

    宮崎駿監督の長編引退宣言、そしてスタジオジブリ製作部門の休業によって、国民的なヒットメイカー不在の危惧がささやかれていた、日の劇場アニメーション。2016年から2017年にかけ、思いもよらないところから奇跡的な大ヒットを達成する作品が生まれた。 ひとつは『君の名は。』である。若い世代の観客を中心に一大ムーヴメントを起こし、急速に映画館が増え続けている中国などで、日映画興行収入の新記録を打ち立て、世界の興行収入の累計で宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』を抜き、日映画最大のヒット作とまでなった。 もうひとつは、『この世界の片隅に』だ。全国63館という公開規模から、熱狂的支持を得て口コミ、SNSなどによって公開館数を増やし、累計で200館以上にまで達するという偉業を達成、観客数はついに100万人を突破した。興行収入は10億円を突破、300億超えの『君の名は。』の規模とは比べにくいが、当初の状

    日本のアニメーションはキャズムを越え始めた 『君の名は。』『この世界の片隅に』から考察
    mustelidae
    mustelidae 2017/01/24
    戦争映画の日本的文脈といったら、それはやはり市民の戦争責任論の不在ということじゃないかと今も思う。『片隅』はまさにそういう意味で、従来の戦争映画と異ならないものだったと思うし。
  • 『君の名は。』なぜ社会現象に? 映像プロデューサーが考察する、大ヒットした3つの理由

    9月22日に興行収入100億円を突破し、動員数774万人の大ヒットを記録している映画『君の名は。』。日の劇アニメで100億円を突破したのは、宮崎駿監督作品以外で初めてのこと(参考:興行通信社「歴代ランキング」)。『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などの新海誠がメガホンを取り、音楽は若年層を中心に高い人気を誇るRADWIMPSが担当している。そして、プロデューサーには『モテキ』『バケモノの子』『怒り』などのヒット作をプロデュースしてきた川村元気が務めている。 広告代理店で映画やドラマの企画・プロデュースを行っている昇大司氏が、この大ヒットの理由を考察する。(編集部) 2016年9月23日10時40分、新宿ピカデリーにおいて、ほぼすべての映画のすべての時間帯が◎(余裕あり)となっている中、唯一、ほとんどの時間で△(残りわずか)となっている映画がある。『君の名は。』だ。 興行収入100億を

    『君の名は。』なぜ社会現象に? 映像プロデューサーが考察する、大ヒットした3つの理由
  • 『君の名は。』の大ヒットはなぜ“事件”なのか? セカイ系と美少女ゲームの文脈から読み解く

    新海誠はアニメ界の「鬼っ子」的存在 新海誠監督の新作アニメーション映画『君の名は。』が、記録的な大ヒットを続けています。公開10日間ですでに興行収入が38億円を突破したといいますから、これはもはや2010年代のアニメ界におけるひとつの「事件」といってよいでしょう。今年の夏はさまざまな意味で「平成の終わり」を実感させられるニュースが相次ぎましたが、まさにアニメ界においても、名実ともにいよいよ「ポストジブリ」の新時代が到来したことを感じさせるできごとです。 しかも注目すべきは、今回のヒットが、内容的にもスタジオジブリやスタジオ地図(細田守)のように、老若男女、幅広い層から支持されているというよりは、10~20代の若者世代、とりわけ女性層に特化して受けているらしいという点です。この『君の名は。』をめぐる現在の盛りあがりには、ゼロ年代から新海作品を観続けてきたアラサーのいち観客として、いろいろと感

    『君の名は。』の大ヒットはなぜ“事件”なのか? セカイ系と美少女ゲームの文脈から読み解く
    mustelidae
    mustelidae 2016/09/13
    セカイ系という切り口が10年遅れているのだとして、今だとどういう切り口になるべきなんだろう
  • 宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性

    「行政官僚制の日常」と「破壊の享楽」 『シン・ゴジラ』(7月29日公開/庵野秀明監督)は想像外に興味深い映画でした。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)以降の庵野秀明監督の不発ぶりに加え、特撮監督が『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年)で味噌をつけた樋口真嗣氏なのもあって、期待水準を高く設定していなかったこともあるかもしれませんが、間違いなくエキサイティングでした。 作は従来のシリーズと違って、ゴジラに主題的な重心がなく、かと言ってヒーローに焦点が当たる訳でもない。敢えて言えば「日の行政官僚制」が主人公で、そのパフォーマンスに焦点が当たります。その話は後で題にするとして、僕がこの作品を見る前に、どこに注目しようと思っていたのかについて話しましょう。キーワードは「破壊の享楽」になります。 この夏休み、僕の3人の子供たちは、AppleTVで利用できる定額制

    宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性
  • 初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明

    公開3週目を迎えても『シン・ゴジラ』の勢いは依然、衰えを見せない。IMAX、MX4D、通常上映と、毎回環境を変えて観ていたが、この原稿を理由にまた劇場に足を向けてしまった。高圧縮の情報量、現実の反映、オマージュ、トリヴィア、語られないまま終わった謎への解釈など、まるで20年前の『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズ放送終了後から翌年の劇場版公開にかけての熱狂が再現されているようだ−−と言っては言いすぎだろうか。いずれにせよ、繰り返し観ることで細部を語る魅力が増す作品であることは間違いあるまい。 マイナスをプラスにさせる庵野秀明のアレンジ ここでは、〈庵野秀明にとってのゴジラ〉から話を始めてみたい。というのも、特撮好きなエヴァの監督というイメージから誤解されがちだが、これまで庵野はウルトラマンほどの熱狂をゴジラには見せていなかったからだ。『シン・ゴジラ』の原点となる第1作の『ゴジラ』(54

    初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明
  • 映画は東京をどのように描いてきたか? 速水健朗が語る、東京と映画の不幸な関係

    ライター、ラジオのパーソナリティー、テレビのコメンテーターなど多くの分野で活躍、リアルサウンド映画部サイトオープン時からの寄稿者の一人でもある速水健朗氏が、この春に2冊のを上梓した。一つは単行『東京β: 更新され続ける都市の物語』(筑摩書房)。映画テレビドラマや小説やマンガといったフィクション作品において、これまで東京がどのように描かれてきたかを検証しながら、スリリングかつ、時にアクロバティックな視点で都市論を展開していく一冊だ。もう一つは、新書『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』(朝日新書)。『東京β』が自由自在に過去と現在を行き来する「東京論」だとすると、こちらは東京の現在に焦点を絞ったその「実践編」と言うべき趣を持った一冊。いずれもいわゆる「映画」ではないが(特に『東京そこに住む?』にはその要素はまったくない)、東京に新たな視点を投げかけている点において、映画好きやドラマ

    映画は東京をどのように描いてきたか? 速水健朗が語る、東京と映画の不幸な関係
    mustelidae
    mustelidae 2016/06/06
    東京を描いた映画というとどうしても劇場版パトレイバー2を外せない
  • PerfumeはPerfumeとして確固たる位置に居続ける--新作のチャートアクションから考えるグループのブレなさ

    参考:2016年04月11日~2016年04月17日(2016年4月25日付)(ORICON STYLE) 氷室京介、BOOWY時代も含めた初のオールキャリア・ベスト・アルバム『L’EPILOGUE』が1位です。若い方たちも「誰それ……」と言わずにこのまま読んでください。 80年代に彗星のごとく現れ、日のロックシーンの潮流を変えたのがBOOWYであり、その中心たるカリスマ・ヴォーカリストが氷室京介でした。その後のバンドブームの火種になったのも彼らであり、BOOWYの影響(あるいはBOOWYフォロワーの影響)を受けた人たちが、今でも第一線で活躍しているのが現状です(V系にしろ、ギターロックでも、パンク畑であっても「きっかけはBOOWY」と語る人たちのなんと多いことか!)。そんなバンド知らないという平成世代の音にだって、実はDNAレベルで組み込まれているのです。 しかし当人たちは否応なく年を

    PerfumeはPerfumeとして確固たる位置に居続ける--新作のチャートアクションから考えるグループのブレなさ
  • 「Perfumeのクールな表現は、熱い思いに裏打ちされている」佐渡監督が明かすアメリカ公演の裏側

    Perfumeにとって初となるドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume –WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』が、日10月31日より全国で公開されている。同作は、昨年リリースされたアルバム『LEVEL3』を提げて行われたアメリカ公演の模様に迫ったもので、これまでNHKの歌番組『MUSIC JAPAN』などでも彼女たちのライブを追ってきた佐渡岳利監督がメガホンを取っている。最新技術を用いて世界的にも高く評価されている彼女たちのライブはもちろん、その裏側の努力や、メンバーそれぞれのパーソナリティまで捉えた作は、どのように制作されたのか。ライターのさやわか氏が、佐渡岳利監督に話を聞いた。 メンバーの個性に踏み込むドキュメンタリー ――『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』は、Perfumeにとって3回目のワールドツアーを追ったド

    「Perfumeのクールな表現は、熱い思いに裏打ちされている」佐渡監督が明かすアメリカ公演の裏側
  • 椎名林檎の曲はなぜ強烈に個性的なのか? “林檎節”の特徴を譜割り・コードから徹底解説

    11月25日にリリースされる、柴咲コウのニューシングル「野生の同盟」の表題曲は、椎名林檎が作詞作曲、アレンジそしてプロデュースを担当したことで話題となっている。これまでにも椎名は、様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画や舞台の劇伴などを手掛けてきたが、どの曲も一聴して彼女の曲だと分かる強烈な個性を感じさせるものだ。 椎名の楽曲といえば、唯一無二ともいえる歌声やヴォーカル・パフォーマンスにまず耳を奪われるが、たとえ彼女が歌ってなくてもそれと分かるのは、そのソングライティングにも特徴があるからに他ならない。そこで今回は、彼女が他アーティストに提供してきた楽曲を聴きながら、「林檎節」ともいえるエッセンスを紹介していきたい。 彼女のソングライティングで最も特徴的なのは、テンションコードやテンションノートを「ここぞ」という絶妙なポイントで使用している点がまず挙げられる。特によく使われてい

    椎名林檎の曲はなぜ強烈に個性的なのか? “林檎節”の特徴を譜割り・コードから徹底解説