中間貯蔵施設建設予定地の大熊、双葉両町の地権者有志でつくる「30年中間貯蔵施設地権者会」(門馬幸治会長)は19日、いわき市で環境省との19回目の団体交渉を行った。中間貯蔵施設の用地契約で、なし崩しで「最終処分場化」されることを懸念する同会に対し、同省が修正、提示した契約書案では中間貯蔵施設整備以外の目的で使用せず、土地の返還期限を「2045年3月12日」とすることなどが明確化された。 これまでの同省の契約書案では、借地借家法の自動更新が適用され、用地が永久使用される可能性があり、同会が見直しを求めていた。同省は借地借家法の自動更新を適用する意思がないとし、契約書案に明記。県外で発生した土壌や廃棄物を持ち込まないことも明確化された。 同省は契約書案のほか、土居健太郎福島環境再生事務所長名で「中間貯蔵施設へ搬入する物」「30年後の県外最終処分」「30年後の跡地」「事業における安全確保」の4文書
県は20日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う県内外の避難者数が8万人を下回り、7万9446人となったと発表した。震災から間もなく6年たつが、記録が残る中で最多だった2012(平成24)年5月の約16万5000人の半数が依然として避難生活を送っている。県内外の避難者数の内訳は県内が3万9608人、県外が3万9818人となり、初めて県外避難の数が県内避難を上回った。 県内外それぞれのピーク時と20日現在の避難者数を比べると、県内はピークの10万2827人(12年5月)に対し、約6万3000人が減った。県外はピークの6万2831人(12年4月)に対し約2万3000人の減少で、県内の減り幅が大きい。 県によると、県内の市町村で原発事故の避難指示が一部解除されたことに加え、復興公営住宅や避難先で住宅を購入するなどの住環境の整備が進み、避難者が仮設住宅や借り上げ住宅から移ったことが背景にあ
本県沖の海産魚介類の放射性物質濃度を調べる県の検査で、今年検査した8596点全てが食品の放射性セシウムの基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回った。東京電力福島第1原発事故後、暦年単位の集計で基準値超えがゼロになったのは初めて。一方、コメについては今年生産された県産米の全量全袋検査で「新米」とされる今月末までの検査対象のコメ1千万点超も、3年連続で基準値未満となる見通しとなった。 魚介類は最後に基準値超えが確認された2015年3月以降の1年9カ月間、基準値超えは出ていない。今年は全体の95%に当たる8171点が不検出だった。 一般食品の放射性物質の基準値は、11年度に暫定値として1キロ当たり500ベクレルが採用されていたが、集計では現在の基準値100ベクレルで評価している。検査は試験操業の魚種以外も対象。 放射性物質の濃度が低減している理由について県は、海水や魚の餌になる生物の放射性物
さまざまなアイデアのロボットで参加チームが競技に挑戦した廃炉創造ロボコン。バルーンで空中から物を捜すロボットも登場した=3日午後、楢葉町・楢葉遠隔技術開発センター 東京電力福島第1原発の廃炉を担う人材育成に向け全国の高専生がロボット技術を競う「第1回廃炉創造ロボコン」は3日、楢葉町の楢葉遠隔技術開発センターで開かれた。階段を上る課題に挑んだ福島高専(いわき市)の「Hairon(ハイロン)」は、5チームに贈られる特別賞を受賞した。最優秀賞の文部科学大臣賞には、10センチ四方の木箱で作った凹凸を乗り越える課題に挑戦した大阪府大高専(大阪)の「TAPPAR(タッパー)」が輝いた。 文科省と全国の高専などでつくる廃止措置人材育成高専等連携協議会の主催で全国13高専から15チーム、約40人が出場した。放射線が高く人が近づけない第1原発の過酷な現場を想定し、学生が趣向を凝らした遠隔操作のロボットを開発
原発事故の健康影響を調べる調査の在り方を議論している県民健康調査検討委員会は早ければ9月にも、甲状腺検査の対象者縮小や検査方法の見直しを視野に入れた議論に着手する。 事故当時18歳以下の全県民が対象の甲状腺検査は大きな転換期を迎える。検討委の星北斗座長が7日までに、福島民友新聞社の取材に明らかにした。 甲状腺検査の対象者は約38万人。検査で見つかったがんについて、検討委は「現時点で放射線の影響とは考えにくい」としている。 検査見直しを視野に入れた議論が始まる背景には、精度の高い検査を行うことで、放射線と関係なく以前から一定割合ある「潜在がん」が見つかるケースへの懸念がある。 治ることが多い甲状腺がんは一律のがん検診による「死亡率の低下」というメリットが生じにくく、検診は世界的に推奨されていない。このため、「検査を受けること自体が受診者の不利益になり得る」との声が医療関係者から上がっていた。
本県沖の海産魚介類を対象とした県の放射性物質検査で、2015(平成27)年度(4月~翌年3月)に採取された8438点全てが食品の放射性セシウムの基準値(1キロ当たり100ベクレル)未満だったことが25日、分かった。東京電力福島第1原発事故後、単年度の集計で基準値を超えた割合がゼロとなったのは初めて。 セシウムが検出限界値未満だったものは全体の91.27%に当たる7702点で、初めて9割を超えた。本年度も15日までの採取分2722点全ての海産魚介類が基準値未満となっている。 検査対象は試験操業の魚種以外も含まれる。11年度は34.74%、12年度は12.55%、13年度は2.30%、14年度は0.48%と減少傾向にある。一般食品の基準値は11年度に暫定値として1キロ当たり500ベクレルだったが、集計では現在の基準値100ベクレルで評価した。 15年度、本県沖で漁獲された魚介類でセシウム濃度が
東京電力福島第1原発事故に伴う南相馬市民の内部被ばく量と、市民の居住地の放射性物質による土壌汚染のレベルを比較した結果、両者はほとんど関係していなかったとする研究成果を、南相馬市立総合病院などに勤務する坪倉正治医師らの研究チームがまとめた。30日、英国医学雑誌のオンライン版に発表した。 旧ソ連チェルノブイリ原発事故では、周辺の汚染地帯で内部被ばく量は土壌汚染レベルに強く相関すると報告されているが、研究チームは「食品の検査体制が整備された日本では、土壌汚染があっても高い内部被ばくを生む状況にはないことが示された。チェルノブイリとの決定的な差の一つだ」と指摘している。 研究では2013(平成25)年3月~14年3月にホールボディーカウンターで内部被ばく検査を受けた市民7987人のセシウム137の内部被ばくデータと、当時の居住地の土壌汚染のデータを比較した。多くの人は検出限界以下だったため、特別
東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く大熊町の渡辺利綱町長は31日、お盆期間を含む8月中旬に、町内の復興拠点に位置づけている居住制限区域の大川原地区と、避難指示解除準備区域の中屋敷地区で、町民が自宅に短期間滞在できる「特例宿泊」を実施したい考えを明らかにした。 特例宿泊が実現すれば福島第1原発の立地町では初めて。町によると、政府との調整はほぼ済んでおり、町は今後、対象町民に周知し、町民のサポート体制を構築していく。 渡辺町長が同日、会津若松市の町会津若松出張所で開いた町議会全員協議会で方針を示し、議会側も了承した。町によると、両地区とも放射線量が低い上、本格除染も終了しているため、帰還準備を進めようと特例宿泊の実施に踏み切った。建設中の東電社宅の入居が7月にも始まるため、町民よりも東電作業員が先に町内で生活を始める「逆転現象」も一因となった。インフラの復旧状況は、電気や電話、上水道は利用
相双地方の名産・ホッキ貝の漁再開を検討していた相馬双葉漁協は20日、相馬市で試験操業検討委員会を開き、6月から漁を実施する方針を正式に固めた。 県漁連の組合長会議などで承認されれば復活する。 ホッキ貝の漁期は6月から翌年1月で、復活すれば6季ぶり。同漁協は18隻の漁船が試験操業に参加すると想定している。 相双沖のホッキ貝は他の産地に比べて強い甘みとやわらかさが特徴。震災前の2010(平成22)年度に同漁協が水揚げしたホッキ貝の量は435トンだった。 ホッキ貝は東京電力福島第1原発事故による出荷制限の対象にならなかったが、震災に伴うがれきが相双沖の漁場に沈んでいたため、同漁協は操業を見送っていた。がれきの撤去が終了したことを受け漁再開を検討していた。
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