ナチスのキッチン 作者:藤原 辰史水声社Amazon ナチスというのは、とってもおもしろい存在だ。ビジュアルなこだわり、異様な合理性の追及の一方で、変なオカルトへの耽溺、あれやこれや。いろんな細かい部分をこだわって考えたりしているので、建築でも経済でも産業でもメディア利用でも、あらゆる面でナチスの活動は非常に興味深いものとなる。だから「ナチスのなんとか」というのはそれだけで大きな売りだし、ぼくのような読者に対しても、「おお、ナチスはあんな方面でもいろいろやっておったのか!」と思って各種著作やDVDを手に採らせる大きなセールスポイントになる。 その一方で、ナチスはとても便利な存在だ。あの異様な絶滅収容所の迫力はだれも文句が言えないし、何か文句なしの悪者が欲しければ、ナチスやヒトラーを持ち出せばいい。そしてナチスは、公共事業もやったし軍の装備近代化もしたしメディアも利用したし健康配慮もしたし禁