ブックマーク / cruel.hatenablog.com (36)

  • EC『ユーロ/EMUの完成に向けて』:EU 上層部ってなんかクスリでもやってるのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    2015年6月22日。ギリシャはデフォルト寸前。2010年、2012年に続いてまたもや(いやこれまで以上の)大規模な救済は何らかの形で不可欠で、あとはそれがどういう形で起こるかというだけの話(ドイツ政府はそれすら理解していない様子だが)。これまでトロイカに言われるままに改革と緊縮を進めてきたけれど、それは何一つ成果を挙げず、GDPは下がり、失業は増える一方。それでもさらに改革と緊縮やれ、とトロイカは言うけど、その改革で何が実現されるのかだれも知らない——いや、これまで以上に何も実現されないだろうというのをみんな知っている、というのが正しいところ。 この危機の原因については各種論争がある。でも: ユーロの構造がその原因の(少なくとも)一つであること 原因かどうかにかかわらず、現在のユーロの仕組みも制度もこの問題を解決できていないこと 話はギリシャだけではないので、場当たり的な対応やXX人が怠

    EC『ユーロ/EMUの完成に向けて』:EU 上層部ってなんかクスリでもやってるのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • Boole et al. Leaving the euro: A practical guide: 何とユーロ離脱マニュアル! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに ギリシャを見ているうちに、中国の株式市場暴落があれよあれよという間にでかい話になってしまったけれど、でもギリシャも相変わらず負けてはいない。IMFに対して堂々のデフォルト、国民投票で正面切っての反抗、窮鼠を噛むじゃないけど、もうやけくそというか開き直りというか、実におもしろい。 デフォルトしてどうすんのよってことで、7月9日にはギリシャ政府はトロイカに対してちょっと譲歩した改革案を出しては見たけれど、それで合意できるんなら先月のうちに合意できただろう、とはみんな思ってると思う。時間稼ぎ以上のものではないと思うな。 そしてもし合意に達したとしても、それによってギリシャの状況がグンと改善して景気が上向き、借金をしゃきしゃき返せると思ってる人はだれもいない。2010年にも2012年にも、それやったもんね。それでいまのていたらく。緊縮で(それもギリシャがやってる超緊縮で)景気が回復する

    Boole et al. Leaving the euro: A practical guide: 何とユーロ離脱マニュアル! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳しはじめたのが1年ほど前だったけど、ぼちぼちやってるうちに終わりました。 エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。産業革命の成果にものすごく興奮しつつ、一方で労働者のひどい状況を実地に見て当に怒っているのがよくわかる、たいへんにおもしろい文章。エンゲルスは理論家としてはアレながらイデオローグとして優秀だったらしいけれど、ルポライターとしてもお見事、というのは訳し終わってもやはり思うね。 イギリスにおける労働階級の状態 (pdf 682kb) e-pub版はこちらできちんとしたものを作ってくれました〜 densabi.hatenablog.com 産業革命の成果に対する興奮は伝わってくるし、また当時のスラムの惨状は匂ってくるような迫真の描写。すごい。これを読んで「いまの日も同じだ、労働者は虐げられている!」といった感想を

    エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 「普通」ってこわいわ〜〜 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    (Photo by Ken, CC BY-NC 2.0) さっき会社で向かいにすわっている子が電話で報告書の印刷を発注しようとしていたんだが「えー、仕上がりといわれましても、まあ普通で〜〜」「色も別に特にないので普通な感じで〜〜」「紙とかもわからないけど、なんかだいたい普通に〜〜」と言っていて、うーん、印刷屋さんもかわいそうに〜〜。 そういえばしばらく前に床屋にいたら、「どういうふうにしますか」と言われたおっさんが「うーん、まあ全体に普通にやっていただければ〜」と言っていて、それでも床屋さんはさっさと切り始めたので、大したもんだなあ、と感心したのを思い出した。「普通」ってすごいわー。 「普通で〜」で思い出した別の話。 昔、夜遅くに大森の定屋にいたら、チャーハンってたおっさんが「ほうれん草あるか」と店の人に尋ねていた。で、店の人が「おひたしですか、炒めますか」と言ったら「いや、生で」と言

    「普通」ってこわいわ〜〜 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 『トマ・ピケティの新・資本論』:時事コラムで仏欧のローカルネタが中心。入門にはつらいんじゃない? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    トマ・ピケティの新・資論 作者: トマ・ピケティ,村井章子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2015/01/23メディア: 単行この商品を含むブログ (7件) を見る ある意味で便乗と言えるけど、ピケティ自身の手になるという意味では他から一歩抜きん出た。 ただ帯に「ピケティによるピケティ入門」とあるけれど、それはきついんじゃないだろうか。ピケティの新聞時事コラムの選集となっているので、ほとんどすべてのコラムはフランス(二割くらい欧州全体、たまにアメリカその他)のローカルなネタをめぐるものとなっている。たとえば、フランスの議員の政務調査費が領収書いらないとか、フランスの相続税が変わったとか、フランスの小学校が水曜休みなのはけしからんとか、EUの総会が財政統一に乗り気でないとか。そのローカルなネタのほとんどについて、書の読者はほぼ知らないと思う。そして知っても他国の細かい法制や

    『トマ・ピケティの新・資本論』:時事コラムで仏欧のローカルネタが中心。入門にはつらいんじゃない? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    mxnishi
    mxnishi 2015/02/11
    「たぶん本書を手に取る半分くらいの人は、廉価版『21世紀の資本』を期待してるんじゃないか。残念ながら、そういう役にはたたない」
  • 2015-01-31

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る 某所のために作ったピケティあんちょこ、みんなにもあげよう。そこらの解説より詳しいよ。いずれこれをベースに書いてもいいけど、まずはこれで。読書会とかしてる人々はご活用ください。 ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 (pdf, 686kb) ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 印刷用 (pdf, 624kb) ちょっと加筆してバージョンアップしました。あと、印刷用バージョンも作った。トナーが節約できます。(02.02) 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承

    2015-01-31
  • アメリカ経済学会大会のピケティセッション:すばらしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティ『21世紀の資』は分厚いし、データも重いし、印象批評以上の批判がなかなか出てこなかった。これは日はもとよりアメリカでも同じ。でも刊行が半年先行した英語圏では、そろそろまともな反論や批判(いい意味で)が出てき始めた。 現時点で、それを最もうまく(そしてまとまった形で)整理したのが、2015年のお正月にボストンで開催されたアメリカ経済学会大会で、グレッグ・マンキューを座長に開催された、ピケティ『21世紀の資』をめぐるセッションだと思う。その予稿集がマンキューのブログに挙がっている。 GREG MANKIW'S BLOG: Me at the ASSA Meeting (2015.1.1) 批判の

    アメリカ経済学会大会のピケティセッション:すばらしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    mxnishi
    mxnishi 2015/01/22
    「r>g は、19 世紀までの話の説明としては重要だが、20 世紀戦後や、21 世紀の予測にも不適切(山形の心の叫び:な、なんだって~~!!)」
  • 異物混入のご報告とお詫び - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    先日、貧乏人への施しとトリクルダウン実証実践の一環といたしまして、コーヒーによる汚損が見られたピケティ『21世紀の資』をこのワタクシめが鷹揚にも底辺貧困層に恵んでやったのは皆様も記憶に新しいところかと存じます。おかげさまをもちまして当該企画は、受益者の皆様にはたいへん好評をもって迎えられました。ひいては、我が国におけるピケティの受容と理解にも大きく貢献したものと自負しております。 しかしながら、その後内部調査の結果として、当該コーヒートリクルダウンの汚損ピケティに異物混入と偽装の事実が明らかとなりました。 経緯: コーヒーがトリクルダウンしたのは事実であったが、カバーおよび帯に使用された紙の撥水性がきわめて高く、美しい汚損が生じていないケースが存在した。この問題について現場では、コーヒーのいれ直しや種類の検討による再加工といった適切な処理を行わず、こうした瑕疵の存在を隠蔽したうえ、独断

    異物混入のご報告とお詫び - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    mxnishi
    mxnishi 2015/01/19
  • ピケティFAQ:いろんなところで出てくる話のまとめ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティについて、訳者としていろんなところで話をきかれるんだが、だいたい出てくる話は同じ。ツイッターとかで、ピケティに仮託してあれこれ言う人たちの言うことも似たり寄ったり。その一方で、当に重要とか鋭いとか思われる質問をする人はあまりいない。 そんなことで、とりあえずFAQをまとめました。長いなので、部分的に取り出せばどんな意見でも裏付けは出てくるだろう。でも常に全体の文脈や、話全体の文脈は理解してものを言いたいものです。ピケティのあのは、「理屈はどうあれデータ見たらこうなってるんです」というのが最大の強みでもあり、それが一方で部分的な弱みにもつながっている。一方で、あのの記述がピケティの見解のす

    ピケティFAQ:いろんなところで出てくる話のまとめ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 竹信『ピケティ入門』:素養のない人が書いたアベノミクス重箱のすみつつき本。ピケティ解説はまちがってはいない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ピケティ入門 (『21世紀の資』の読み方) 作者: 竹信三恵子出版社/メーカー: 金曜日発売日: 2014/12/08メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る ピケティ便乗解説がいくつか出てきた。市が栄えるのは結構なことです。でも訳者としては、できればきちんとした解説になっていてほしいな、と思うのは人情でしょう。そんなわけで、一応見てみました。その筆頭が、この赤い。そしてその評決は…… あまりおすすめできないと言わざるを得ない。 1. 解説部分は、まちがってはいない……が、素養がないのはモロバレ まず、第1章と第2章では、ピケティ『21世紀の資』の概略説明。ここのところは、まちがってはいない。まちがってはいないんだが、見た瞬間にこれを書いたのがこの分野の素養のまったくない人間だということがすぐわかる。 ピケティの基的な式は、r > g というや

    竹信『ピケティ入門』:素養のない人が書いたアベノミクス重箱のすみつつき本。ピケティ解説はまちがってはいない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    貯まっていた Science をいっしょうけんめい消化しているんだけれど、そこで見たおもしろい記事。老化特集なんだけれど、そこで子供時代のIQと高齢になってからのIQを調べた研究についての話が出ている。 Emily Underwoood, "Starting Young" (Science 31, 2014/10) スコットランドで、11歳のときのIQとその50年後のIQを追跡調査で千数百人について追跡したんだって。そしてそれで得られた知見は……だいたい見当つくでしょ。11歳のときに高IQだと、高齢になってからも高IQだということ。50%くらいの説明力があるそうな。だいたい子供の頃にかなり決まっちゃうんだねー。幼児教育や児童教育はケチらずがんばろうぜー。それは高齢化対策にもなるんだから。 この研究で他におもしろかったこと。 ワイン飲んでも知能改善になるかどうかわからんらしい。 一日にワイン

    高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    mxnishi
    mxnishi 2014/12/15
    「もっと教育とか子育てにどんどん政策的にお金を割けというのが正しい方向性みたいねー」
  • バルザック『ゴリオ爺さん』:さすが元祖大衆小説。おもしろい! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ゴリオ爺さん (上) (岩波文庫) 作者: バルザック,高山鉄男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/09/16メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (19件) を見る ピケティに出てくるので、半ばいやいや手に取った。いやならいちいち手に取らなくてもいいじゃん、邦訳はアマゾンで検索すればすむじゃん、と思うだろうけれど、ぼくはそれではすませないのだ。他のだれもほとんどやらないことだが、ぼくは各種の翻訳で、参考文献に邦訳がある場合はそれを書くだけでなく、引用部分のページ数が出ている場合には邦訳の中で該当箇所が何ページにあるのかまで調べて書いている。 Jane Austen, Sense and Sensibility (Cambridge, MA: Belknap Press, 2013), 405 邦訳ジェイン・オースティン『分別と多感』(中野康司訳、ちくま文庫、

    バルザック『ゴリオ爺さん』:さすが元祖大衆小説。おもしろい! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 買った本いろいろ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    別荘 (ロス・クラシコス) 作者: ホセドノソ,Jos´e Donoso,寺尾隆吉出版社/メーカー: 現代企画室発売日: 2014/08/05メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る ドノソ。でも『夜のエッチな鳥』の再刊を民草は待ち望んでおります。これもいずれ読むけど、寺尾隆吉訳か。よく仕事するなあ。ぼくと同じくらい仕事してない?? なんか最近、寺尾の名前だけでを買ってるような印象で、太鼓持ちみたいで悔しいんだが、いい仕事してるからなあ。 チューリングの妄想 作者: エドゥムンド・パスソルダン,Edmundo Paz Sold´an,服部綾乃,石川隆介出版社/メーカー: 現代企画室発売日: 2014/08/05メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る ラテンアメリカもそろそろ新しいネタがあるかと思って買ってみたが、どんなもんでしょう。 エネルギー問題入門

    買った本いろいろ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    mxnishi
    mxnishi 2014/08/19
    それはすごい。「これもいずれ読むけど、寺尾隆吉訳か。よく仕事するなあ。ぼくと同じくらい仕事してない??」
  • ピケティ『21世紀の資本』:せかすから、頑張って急ぐけれど、君たちちゃんと買って読むんだろうねえ…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Note (2014.08.04) What follows are some rants by the Japanese translator of "Capital in the 21st Century." I realized that it can be taken out of context (and that some people actually do such things), so I guess I need to explain what's going on. The whole piece was intended to serve as a half-joke expectation management. In Japan, there was some false rumor about the timing of the Japanese trans

    ピケティ『21世紀の資本』:せかすから、頑張って急ぐけれど、君たちちゃんと買って読むんだろうねえ…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • サックスのミレニアムビレッジと、イースタリーの批判 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    しばらく前にイースタリーが、サックスの肝いりで始まったミレニアムビレッジの批判をやっとうたんよ。 ウィリアム・イースタリー「援助議論の終焉―ジェフリーサックスによるミレニアム村の失敗―」 (道草) まあサックスとイースタリーのケンカはいつもながらのことだけど、これについて、ずいぶん前にエコノミストの記事を訳したことがあったのを思い出した。 アフリカ貧困から救うすばらしき7箇条。(2006) うーん、やっぱうまくいかんかったのねー。この翻訳の最後につけたぼくのコメント、結構あたっちゃってるのねー。もうちょっとうまく行くところもあるんじゃないかと思っていたけど。この医療の成功とか、もうちょっと細かく知りたいところだけど。でもこういうアフリカの僻地の村とかいうのより、少し工業が出てきてるあたり、タンザニアとかケニアとかエチオピアあたりの改善とかするとまだいいんじゃないかと言う気はする。 ついで

  • エゴサーチ:富岡日記とSF - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    富岡日記 (《大人の棚》) 作者:和田 英みすず書房Amazon ツイッターで、2014年4月末にエゴサーチをしてみると、何やら突然二種類のネタでもりあがっていて、騒動好きのワタクシといたしましては嬉しい限り。 一つ目のネタは、富岡製糸工場が世界遺産入りするとかで、ぼくが勝手にスキャンしてアップロードした富岡日記が俄然注目を集めていること。すばらしいことです。が、言っておくとぼくは富岡製糸工場の世界遺産入りをまったく評価していない。というのも…… なぜぼくが『富岡日記』をアップロードしたかといえば、それがかなり手に入りにくい状態になっていたからだ。それでも当時から、世界遺産にしろという騒ぎはやっていた。さて富岡製糸工場は世界的に見て重要かもしれない。ぼくは特にそうとは思わないんだが、それはひとそれぞれ。でもそれなら、それを裏付ける資料を作ろう。なぜ大事なのか、何がおもしろいのかをきちんと

    エゴサーチ:富岡日記とSF - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Journalism 2014年1月号 出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/01/10メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る もうすぐ消費税率引き上げなので、その前に昨年末に書いた原稿をアップしておく。朝日新聞の雑誌「Journalism」が、2014 年の経済ジャーナリズムについてということで、要求通りのものを書いたのですよ。 ところが、ゲラまで直したあとで、いきなり編集長判断でボツ、とのこと。 その後、実際の雑誌が出たのを見たところ……とにかく全編、なんでもいいからとにかく安倍政権批判をしなくてはいけない、という至上命令が下った模様。群の音だ、秘密保護法でやりたいほうだい、政権の私物化だ云々。全部そんな記事ばっかり。え、2014年のジャーナリズムのあり方についての特集じゃなかったんですか―― ジャーナリズムは秘密保護法に反対しなくてはならない、よって

    消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 藤原『ナチスのキッチン』:せっかくの調査が強引なイデオロギーはめこみで台無し。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ナチスのキッチン 作者:藤原 辰史水声社Amazon ナチスというのは、とってもおもしろい存在だ。ビジュアルなこだわり、異様な合理性の追及の一方で、変なオカルトへの耽溺、あれやこれや。いろんな細かい部分をこだわって考えたりしているので、建築でも経済でも産業でもメディア利用でも、あらゆる面でナチスの活動は非常に興味深いものとなる。だから「ナチスのなんとか」というのはそれだけで大きな売りだし、ぼくのような読者に対しても、「おお、ナチスはあんな方面でもいろいろやっておったのか!」と思って各種著作やDVDを手に採らせる大きなセールスポイントになる。 その一方で、ナチスはとても便利な存在だ。あの異様な絶滅収容所の迫力はだれも文句が言えないし、何か文句なしの悪者が欲しければ、ナチスやヒトラーを持ち出せばいい。そしてナチスは、公共事業もやったし軍の装備近代化もしたしメディアも利用したし健康配慮もしたし禁

    藤原『ナチスのキッチン』:せっかくの調査が強引なイデオロギーはめこみで台無し。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 報酬を出すと献血の質も量も下がる、というのはまちがいかも…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    協力がつくる社会―ペンギンとリヴァイアサン 作者:ヨハイ・ベンクラーNTT出版Amazon 先日訳したベンクラー『協力がつくる社会』は、利己性とか互恵性とか、人間の協力行動にちょっとでも利己的な部分があるという発想にものすごく敵意を示すで、それがの欠点だというのは解説で書いた通り。その中で一つ大きくクローズアップされていたのが、献血。献血は、完全ボランティアでやるのがその質も量も最も高くなる、というのが紹介されていた研究。報酬を出すと、報酬目当てに献血する人が多少増える一方で、無償で献血していた人々は自分の意図が貶められたように思ってそれ以上に献血量を減らし、さらに報酬目当てに献血する人々は貧しい=健康状態も低い人なので、質も下がる、というのがその主張。 この研究をもとに、売血制度のあった世界各国もだんだん無償献血に移行した、というのがの主張で*1、ベンクラーはこれを使って報酬目当て

    報酬を出すと献血の質も量も下がる、というのはまちがいかも…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』:アセモグルきたー! 世間的な認識は妥当なものか、実物読みましょう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/21メディア: 単行この商品を含むブログ (30件) を見る アセモグルきたー! です。ぼくもちょっと協力したもんで、うちにはすでに届きました。 このは、一般には「経済発展には制度が重要なんだけどぉ、制度ってなかなか変わんないしぃ、数少ない成功例は血みどろだったりして全体で見るとホントによかったかわかんない、みたいなフランス革命とかだしぃ、まあ基的にはお先真っ暗でゼツボーで、経済発展なんかするほうが奇跡っつーことでオマイラ努力するだけ無駄かもねハッハッハ」というようなだと思われている。 その例として、たとえば拙訳のバナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』は書について最後の章でかなり批判的に延べ、そん

    アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』:アセモグルきたー! 世間的な認識は妥当なものか、実物読みましょう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」