ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (8)

  •  「モラルの起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    モラルの起源―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか 作者: クリストファーボーム,Christopher Boehm,斉藤隆央出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2014/11/01メディア: 単行この商品を含むブログ (18件) を見る 書は文化人類学者であるクリストファー・ボームによるヒトの道徳の進化についての自身の長年の考察をまとめたものだ.基的にチンパンジーの観察データ及び狩猟採集民の観察データから出発して,利他的な行動特性,特に(その至近的な心理メカニズムとして)キーになっていると考える道徳的な良心の進化を,その進化理論と進化経路を合わせて考察して仮説にまとめ上げることを主眼としている.一般向けではあるがなかなか重厚な書物になっている.原題は「Moral Origins」 書はまずダーウィンのヒトのモラルの進化についての取り組みを紹介し,そこから血縁者以外への利他

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  •  「社会はなぜ左と右にわかれるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学 作者: ジョナサン・ハイト,高橋洋出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2014/04/24メディア: 単行この商品を含むブログ (26件) を見る 書は,社会心理学者でありポジティブ心理学で有名なジョナサン・ハイトによる道徳についてのである.前著「しあわせ仮説」においては,心の二重過程を「象と象使い」と極めてうまく表現し,しあわせとは何か,どのようにしてしあわせになれるのかを解説していたが,書においては道徳を取り扱っている.背景には現代アメリカで進行している政治過程の極端な二元化への憂いがある.原題は「The Righteous Mind」.このRighteousという単語には「唯我独尊的な」「自分だけが正しいと感じる」というニュアンスがあって,その背景とあわせると絶妙な題になっている. 構成としては大きく3部に

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    mxnishi
    mxnishi 2014/06/22
  •  「シグナル&ノイズ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 作者: ネイト・シルバー,西内啓,川添節子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2013/11/28メディア: 単行この商品を含むブログ (25件) を見る 書は2008年と2012年のアメリカ大統領選挙の州ごとの勝敗を驚異的な精度で予測したことで一躍有名になったネイト・シルバーによる統計的な手法を駆使することによる予測についてのだ.原題は「The Signal and the Noise: Why So Many Predictions Fail - but Some don’t」 序章では予測にかかる今日的な問題が書かれている.1970年代までの様々な予測は「少ないデータからどう予測するか」が問題だった.現在では「多すぎるデータをどう使うか,どうノイズとシグナルを見分けるか」が問題になっているのだ.シルバーはいわゆる「ビッグ・

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  •  「ヒトは病気とともに進化した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトは病気とともに進化した (シリーズ認知と文化) 作者: 太田博樹,長谷川眞理子出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/12/20メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る 書は進化医学にかかる若手研究者の寄稿をまとめた一冊.これまで進化医学として扱われてきたものの多くは,感染症やアレルギーや癌を病原体とホストの共進化やゲノミックインプリンティングなどの視点から考察するもの,あるいは生活習慣病を進化環境と現代環境のミスマッチという視点から考えるもの,つまり「適応」をキーワードとして病気を考えるもの*1だったが,書では,遺伝子のゲノムワイド関連解析が可能になった現状を踏まえた,より集団遺伝学的な視点からの病気の考察が主体になっていて*2,進化医学の最新の発展を教えてくれるになっている. 「はじめに」において書が企画された経緯が説明されている.それは2010年の

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    mxnishi 2014/01/23
  •  「シビリアンの戦争」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき 作者: 三浦瑠麗出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/10/19メディア: 単行購入: 13人 クリック: 615回この商品を含むブログ (17件) を見る 書はある種の戦争開始のメカニズムについてのである.著者の三浦瑠麗は東大農学部卒業後,同じく東大の法学政治学研究科の大学院に進み,2010年に法学博士となるというちょっと変わった経歴を持ち,現在は東大政策ビジョン研究センターの特任研究員という若手研究者だ.書はそれまでの研究成果を生かしたはじめての主著ということで気合いが入ったになっている. 問題意識としては,「これまで関東軍の独走を許した日や多くの軍事政権の暴走の例をふまえて,一般的に『軍部は基的に戦争をしたがり,それを抑えるためにシビリアンコントロールが重要だ』と考えられてきている.しかしイラク戦争を見るとこ

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  •  「ゲーム理論による社会科学の統合」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ゲーム理論による社会科学の統合 (叢書 制度を考える) 作者: ハーバート・ギンタス,小川一仁,川越敏司,佐々木俊一郎,成田悠輔出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/07/14メディア: 単行購入: 9人 クリック: 328回この商品を含むブログ (17件) を見る 書はNTT出版による業書「制度を考える」の一冊.著者のハーバート・ギンタスはゲーム理論家で行動科学者ということだが,多くの学際的な活動で知られる.書もその邦題からわかるように非常に学際的な性格の強い書物であり,書を貫くギンタスの主張は「ヒトの行動にかかる学問は,社会科学,生物学,心理学,経済学という分野ごとに分断化され,相互に相容れないモデルを使っているが,それは大変嘆かわしい状況である.そして行動科学は,ヒトを拡張された合理性を持つプレーヤーと扱い,社会規範を入れ込んだゲーム理論によって統合が可能で

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  •  「スウィート・ドリームズ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    スウィート・ドリームズ (NTT出版ライブラリーレゾナント059) 作者: ダニエル・C・デネット,土屋俊,土屋希和子出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2009/12/22メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 79回この商品を含むブログ (21件) を見る 哲学者ダニエル・デネットによる「意識」についてのエッセイ集.デネットは1991年「Consciousness Explained」(邦題「解明される意識」)において,「意識」の問題を取り上げ,脳内に「意識」を司っている特別の部位や中枢はないのであり,ニューロンのネットワークから生まれる現象として考えるべきだという主張を整理している.今風にいうと「中の人などいない」ということになるだろう. その後デネットは進化生物学に興味の中心を移していったのだが,この「意識」にかかる(デネットにとっては既に解決したはず

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    mxnishi
    mxnishi 2010/02/24
    良い。
  •  「犯罪の生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    犯罪の生物学―遺伝・進化・環境・倫理 作者: D.C.ロウ,David C. Rowe,津富宏出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2009/09/01メディア: 単行購入: 8人 クリック: 69回この商品を含むブログ (4件) を見る デヴィッド・ロウ*1による2002年の「Biology and Crime」の邦訳である.犯罪と生物学についての様々な視点からのトピックを簡単に紹介する入門書という位置づけになるだろう.かねてから有名なであり,訳出されて喜ばしい.*2 19世紀の骨相学の過ちから後,長らく犯罪学においては「犯罪の原因は社会にあるのであり,生物学的な原因はあり得ない」というイデオロギーに染まっており,生物学的な要因を持ち出すのはいわばタブーであった.書によるとそれは1980年代以降少しづつ変わりつつあるということだが,なお犯罪学のメインストリームではないのだろう.そ

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    mxnishi
    mxnishi 2010/01/04
    ロウ『犯罪の生物学』
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