東日本大震災ですべての原子力発電所が停止し、日本の電力供給は逼迫したが、かろうじて供給され続けた。原子力発電所の代替となったのは休止していた火力発電所で、発電するための燃料は、たまたま供給元のカタールで余剰となった液化天然ガスだった。この余剰となった天然ガスは、年々消費量が増加する米国の需要増に合わせて生産拡大し用意した1億トンだ。シェール・ガスを増産した米国はこれをキャンセルしたことから、余剰分が日本に回ってきたのだ。 日本のほかに、カタールの余剰天然ガスはロシアとの価格交渉の末、欧州へ輸出された。今まで欧州では独壇場であったロシアの天然ガスは行き場がなくなり、中国や日本などアジアでの市場を打診している。また、米国のシェール・ガスによる天然ガス増産により、火力発電に使っていた石炭は欧州へと流れ込んでいる。欧州の天然ガス需要は減少し、これに伴い、ロシアの天然ガスはますます余ることになる。