<「変な地形に」> 地元合意という防潮堤の「基盤」が揺らいでいる。 「反対住民がいる状況をどう考えているのか」。今月3日、気仙沼市内で宮城県が開いた防潮堤の検討会。委員を務める東北大災害科学国際研究所の平野勝也准教授(45)は、険しい表情で会場を後にした。 宮城県は同市本吉町小泉地区で海抜14.7メートル、最大幅約90メートルの台形型防潮堤を計画する。県内では最大規模だ。年内の本体着工を控え、地区への影響を探る目的で検討会が設置された。 景観を専門とする平野准教授は検討会の席上、「変な地形になる」と設計変更を要求。県側は「地元から一刻も早い着工を求められている」と反論した。 県は昨年11月に開いた住民説明会で同意を得たと判断しているものの、会場で賛成、反対の両派が激しい応酬を繰り広げた経緯がある。異論は専門家だけでなく、住民の間でもくすぶり続ける。 「自然環境を残す価値を熟議し