住友商事は1日、仙台市宮城野区の仙台港で計画しているバイオマス混焼の石炭火力発電所「仙台高松発電所」(仮称、11万2000キロワット)を、バイオマス専焼に変更すると発表した。地球温暖化と環境悪化が懸念される石炭火発に対する批判を踏まえた。運転開始目標も2021年上期から23年4月に先送りした。 仙台市内で記者会見した担当者は変更の理由について、昨年8月に環境影響評価(アセスメント)方法書の市長意見で石炭燃料比率30%の引き下げを求められたことや、石炭火発の自粛を求める市の指導指針を考慮したと説明した。 新たな計画は、燃料に北米の木質ペレットなどを検討。発電全量を再生可能エネルギー固定価格買い取り制度に基づき、東北電力に売電する。年内に環境アセス準備書を市に提出する。 共同で計画を進めた四国電力が4月、事業から撤退。住商の担当者は「新たなパートナーは白紙の状態。来年中に整備するかどうか決める
仙台市東八番丁(現宮城野区榴岡)の片倉組仙台製糸所。東北各地から繭を集め、1905~55年に操業した=1908年ごろ かつて「駅裏」と呼ばれたJR仙台駅東口の移り変わりを宮城大事業構想学群の佐々木秀之准教授(43)=地域資源論=が研究している。開業130年を迎えた仙台駅。駅裏を「仙台市の都市化に伴い、工場や軍隊、性風俗など、歴史的に『負』の部分を支えてきた」と位置付け、歴史の陰をあぶり出している。 仙台駅は1887年に仙台停車場として開業した。当初内定した建設地は現在の仙台貨物ターミナル駅(宮城野区宮城野)付近。「駅裏は駅前になるはずだった」と佐々木准教授は言う。だが、宮城県などが「市街地から遠すぎる」と反対し、曲折を経て現在の位置に決まった。 仙台駅は当時、中心市街地に近い西側にだけ玄関口を設けた。「駅裏」と呼ばれた東側は利便性が高い一方、広い土地の確保が容易だったため、住民から敬遠され
環境省東北地方環境事務所は9日、青森、秋田両県にまたがる白神山地の世界遺産地域周辺地域で、ニホンジカとイノシシが確認されたと発表した。イノシシの確認は初めて。今後、自治体や東北森林管理局、学識経験者らと生態系への影響を調べる。 ニホンジカは、6月27日に世界遺産地域から南に約12キロの秋田県能代市二ツ井町梅内で性別不明の1頭が、7月19日に同地域から東に約7キロの青森県西目屋村砂子瀬でオス1頭が、それぞれ東北森林管理局が設置した自動撮影カメラに写った。 イノシシは、世界遺産地域から南に約19キロの能代市二ツ井町麻生で、7月9日に2回、性別不明の各1頭が自動撮影された。 野生動物管理学が専門の森林総合研究所(茨城県つくば市)の堀野真一研究専門員は「イノシシは条件次第では、爆発的に増える可能性がある。ブナ林への影響は(植物の芽を食い荒らす)シカに比べると限定的とみられるが、油断しないほうがいい
山形県鶴岡市沿岸部に約38メートルの巨大津波が押し寄せていた可能性があることが、山形大の山野井徹名誉教授(72)=古生物学=らの研究チームの調査で分かった。津波堆積物としては世界で海抜が最も高いという。山形県遊佐町でも20メートルを超える津波の痕跡があり、今後の津波対策を考える上で貴重なデータとなりそうだ。 山野井名誉教授は1990年代に、庄内地方の沿岸部の砂丘で化石の発掘調査をした際、津波の堆積物と思われる地層を見つけた。2011年の東日本大震災発生後、本格的に堆積物の調査を始めた。 鶴岡市4カ所、遊佐町7カ所の海岸から700メートル~1600メートルの地点で掘削作業に当たり、津波堆積物とみられる層を発見。海抜が最も高いところは鶴岡市が37.9メートル、遊佐町は20.5メートルだった。 十和田火山の噴火(915年)で積もった火山灰の層を基準に、年代も測定した。堆積物から採取した炭素の成分
元名古屋大女子学生の裁判員裁判で、元名大生(21)は7日、情状に関する被告人質問に答えた。仙台市内の私立高2年だった2012年、劇物の硫酸タリウムを2回飲まされ、視力が著しく低下したとされる元同級生の男性(21)も出廷し、処罰感情を訴えた。要旨は次の通り。 【元名大生の供述】 「人を殺したい」と思う頻度は以前と比べてかなり減ったが、最近もたまに殺人欲求が湧き上がり、人を殺す夢も見る。精神鑑定中に処方された薬を飲み始め、落ち着いてきている。 事件当時の記憶は曖昧な部分もあるが、思っていることは法廷で言えた。勾留中、遺族や被害者の気持ちを考えようと何度も試みたが、自分の考えと遺族や被害者の考えが全く異なり、あぜんとした。たとえば殺害した女性が居なくなれば、遺族は生活の不便から怒りを感じると思っていたが、喪失そのものが怒りや悲しみにつながっていると知り、驚いた。心情があまり想像できていない。遺族
陸前高田市立博物館が所蔵し、東日本大震災の津波で被災した植物標本の修復作業が大詰めを迎えている。岩手県立博物館(盛岡市)が全国29の関係機関と連携して取り組み、これまで全体の9割以上に当たる約7800点を修復した。学芸員らは「津波で変化した三陸の植生を伝える貴重な資料を後世に残したい」と話す。 津波で2階まで浸水した陸前高田市立博物館は、明治後期から震災直前にかけて三陸沿岸で採取した植物標本約1万5000点を所蔵していた。 標本の流失はほとんどなかったが、カバーで覆わずに保管していた約8000点は海水と泥にまみれてカビが生えた。 県立博物館の職員らは2011年4~5月、現地で標本を回収。同館の作業員8人に加え、無償で協力に応じた全国29の博物館や大学にも標本を郵送し、修復を進めてきた。 標本は押しつぶして乾燥させた植物を台紙に張り付ける「押し葉標本」で、植物を台紙から剥がし、筆で泥
2020年東京五輪・パラリンピックに関し、河北新報社が宮城県内の18~20歳のモニター107人を対象に行った意識調査で、五輪によって東日本大震災からの復興が「置き去りにされる」と懸念する若者が4割に上った。五輪がもたらす効果としては、観光客の増加や交通インフラの利便性向上を期待する声が上がった。 震災復興が進むかどうかを尋ねたところ、「復興が置き去りにされる」との回答が39.3%に達し、「進む」は14.3%にとどまった。人やモノが五輪関連に集中し、被災地への関心が低下する懸念などが強いことをうかがわせた。「どちらとも言えない」も39.3%を占め、7.1%は「分からない」と答えた。 東京五輪が日本全国にもたらすと期待される効果(複数回答)については「観光客の増加」が48.2%で最多。「空港・鉄道・道路など交通インフラの利便性向上」(41.1%)、「経済波及効果や雇用の創出」(39.3%)
触るだけでも危険な猛毒キノコのカエンタケが、仙台市太白区長町越路の山林で見つかった。 人体への悪影響が大きく、市保健所は「決して触ったり、食べたりしないでほしい」と注意を呼び掛けている。 若林区の今田倭雄(こんだしずお)さん(78)が19日のハイキング中に発見。腐食したナラの木の根元に4本生えていた。「毒々しい色と形で、すぐにカエンタケと分かった」という。 カエンタケは夏から秋にかけて発生する。ナラ枯れの進行に伴い近年、東北でも出現例が増えている。触ると皮膚がただれ、少量でも食べると発熱などの症状が出る。脳神経障害による死亡例も報告されている。 市によると、8月には泉区寺岡でも見つかった。保健所の担当者は「子どもの行動範囲にあると危険。保護者は注意してほしい」と話している。
紙飛行機設計の世界的権威で仙台市出身の二宮康明さん(90)=横浜市=が、自身が手掛けた紙飛行機や設計図などを仙台市科学館(青葉区)に寄贈した。科学館は近く常設展示する予定だ。 寄贈したのは自作の紙飛行機約200機と設計図、写真集、書籍など。紙飛行機教室で使用するイベント用の500機も贈った。二宮さんが1967年に米国で開かれた第1回国際紙飛行機大会でグランプリを受賞した際のトロフィーもある。 80歳を過ぎたころから、二宮さんが84年から会長を務める日本紙飛行機協会(東京)が寄贈を働き掛けていた。「寄贈は古里の仙台に」という二宮さんの意向をくみ、協会が市科学館に相談し、寄贈が実現した。 二宮さんは幼い頃から趣味で紙飛行機を設計。旧制仙台一中(現仙台一高)を卒業後、東北大工学部に進み、電気通信省(後に電電公社、現NTT)の研究所に勤務した。 月刊誌「子供の科学」(誠文堂新光社)の紙飛行
秋田県鹿角市十和田大湯の山林でタケノコ採りの男女4人が相次いでクマに襲われて死亡したとみられる事故で、10日に駆除された雌のツキノワグマの胃から人体の一部が見つかったものの、専門家は別のクマが襲った可能性も捨てきれないと指摘する。現場周辺では引き続き厳重な警戒が必要だ。 「襲ったクマは他にいるのではないか」。NPO法人日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)理事長の米田一彦さん(68)=十和田市出身=は、13日に行われた雌グマの解剖結果を受けて、そう推測する。 米田さんによると、クマは一つの物を大量に食べ続ける習性がある。実際に雌グマの胃の中には、タケノコが多く詰まっていた。米田さんは、他のクマに襲われて死亡した人を、雌グマが偶然見つけて食べた可能性はあるとみる。 人を襲ったクマが他にいる疑いがある以上、専門家は現場周辺に立ち入らないなどの警戒を解かず、これ以上被害が出ないよう対策を
岩手・宮城内陸地震でできた荒砥沢崩落地。茶色い山肌が見える崖の上が冠頭部で、左下が荒砥沢ダム。国内最大級の地滑りは、植生の回復や治山工事により発災当時の荒々しさは姿を消しつつある。崩落地内には現在、工事用道路が通る=2016年6月3日 岩手・宮城内陸地震は14日で発生から丸8年を迎えた。マグニチュード(M)7.2の地震が発生、激震に見舞われた宮城県栗原市の栗駒山麓では大規模な地滑りや土石流が相次ぎ、緑まぶしい初夏の風景を一変させた。23人が犠牲になった大規模災害だったが、東日本大震災の発生などにより、内陸地震の記憶は地元でさえ薄れつつある。内陸地震をいかにして後世に伝えるか。市は地滑りによる大規模崩落地を中核的地形と位置付け、栗駒山麓ジオパークとして防災教育に活用するなど伝承活動に取り組んでいる。 ◎見学ポイント高所に移動検討/災害現場より俯瞰的に むき出しになった茶色の山肌、寸断されて
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