震災から間もなく5年。津波や東京電力福島第1原発事故の影響などで大きく変わってしまった本県の自然環境。浜通りの避難区域などを中心にイノシシやイノブタ、アライグマなどの野生動物が増え続けており、避難解除で住民帰還を進める中で、駆除などの対策が急務となっている。その一方で、津波に遭った沿岸部では干潟ができるなどして、絶滅危惧種に指定されている「ウミミドリ」「ツツイトモ」などの貴重な植物も相次いで見つかるなど、貴重な自然環境の復活の兆しも見られている。 避難区域を中心に生息域を拡大しているのがイノシシ。原発事故で一時低下した捕獲数は、1頭当たりの捕獲報奨金の増額など市町村の取り組みで事故前の水準を大幅に超え、2014(平成26)年度は1万5000頭(推定)に上った。 しかし、14年度、県内には08年度の2倍ほどの5万頭近くが生息していたとみられる。急激な増殖に捕獲が追い付かないのが現状だ。 県は
東日本大震災の津波により、本県の沿岸部には湿地や塩性湿地、干潟ができるなど、開発される以前の状態に戻り、絶滅危惧種に指定されるような植物も見られるようになった。一方で復旧工事が進むことにより、人の手が加わる前に戻った生物の多様性は再び失われつつある。福島大共生システム理工学類環境システムマネジメント専攻の黒沢高秀教授(50)は「自然と復旧をどう両立させるかが大事」と課題について話す。 本県は震災前、開発による人工海岸や半自然海岸が多く、全国でも自然海岸の割合が少ない県だった。湿地の埋め立てなどの改変でもともと生息していた植物は生育地を失い、一部は絶滅危惧種に指定された。だが、震災による津波で湿地ができ、姿を消していた植物が戻ってきた。「人の生活へは大きな被害をもたらしたが、自然にとっては回復の側面が大きかった」と黒沢教授は話す。 現在、被災地では復旧事業が進む。防災のための海岸防災林や防潮
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く