鉄道など人や物を運ぶ分野では,安全のために位置情報の利用が欠かせない。近畿日本鉄道(近鉄)とJR貨物はそれぞれ,2008年3月にGPSを利用した運転支援システムを導入した。今後,衛星測位の精度が高まれば,さらに安全に人や物を運ぶことができると期待を寄せる。 近鉄が開発した「運転士支援システム」は,オーバーランなどの運転士のミスに悩む指導教官からの要望で生まれたものである(図1)。2000年5月にGPSの精度を意図的に劣化させるSA(selective availability)が解除され,GPSによる測位精度が高まったことから開発を本格化した。