「予想以上に速いスピードで、パーッと世界展開と車種展開が広がりました。そして、海外26カ国に51の事業体を持ち、年間の生産台数が800万台という段階に来ていたわけです。…(中略)…。これだけグローバル展開が進むと、兵站(へいたん)線を整えなければならない。事実、兵站線は伸びきっています。…(中略)…。これまでのように本社が世界中を支援し続けると、疲れ切ってしまいます」〔トヨタ自動車社長(2005年当時)の渡辺捷昭氏〕。 トヨタ自動車では、2000年半ば頃から、経営トップ陣が頻繁に「兵站線が伸びきっている」という表現を使うようになっている。世界中に多数の拠点を抱えたことで、末端の拠点まで支援の手が届きにくくなったり、本国拠点の負荷が過重になるなどして、グローバル経営に支障をきたすようになっているのである。事実、21世紀に入ってから、トヨタ自動車は世界各地でたびたび大規模な設計・製造品質に関わ