今回の原稿は早朝のジャカルタのホテルで書いている。先週以降日本は「イスラム国」人質事件で揺れに揺れたが、同じイスラムでも、ここインドネシアの状況は大いに異なる。今回は改めてこの世界最大のイスラム人口国家の地政学的重要性を再確認させられた。筆者がそう考える理由は次のとおりだ。 ●定着する民主主義 第1はインドネシアがイスラム圏で数少ない民主国家の一つであることだ。昨年の大統領選挙でインドネシアは2004年の初の直接選挙以来、初めて民主的な政権交代を実現した。この10年間に大統領直接選挙は定着し、巨大イスラム人口国家でも民主主義が可能であることを証明した。この間中東で、チュニジアを除き、いわゆる「アラブの春」が相次いで頓挫したことを思えば、インドネシアの民主主義がいかに貴重なものか理解できるだろう。 ●ASEAN随一の海洋大国 第2に日本から中東湾岸地域までのシーレーンは海洋国家インドネシアに