はじめに 以下のレポートは、「Wikipedia」の編集システムに関する思考実験である。 Wikipediaでは、1つの項目に1ページが与えられている。そして、その1つのページ内で多数の執筆者が編集しあう形を取っている。これを「1項目単ページ方式」(集団主義的なWikipedia)と呼ぶ。 これに対して、執筆者達がそれぞれ自分専用のページ(他人は編集できないページ)を持ち、それぞれが独自の百科事典項目を作っていく方式を想定する。これを「1項目多ページ方式」(個人主義的なWikipedia)と呼ぶ。「1項目多ページ方式」でも、執筆者専用のページ以外は従来と同じシステムであると考える。 ここでは、この「1項目多ページ方式」(個人主義的なWikipedia)が実現された場合、どのような現象が起こるかを考えてみる。 なお、どちらの方式が望ましいかの議論は関心の対象外であるので省く。 1.集団主義的